鮮明!最強のMRI装置の驚異の解像度で脳内がくっきり
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昨今の技術は本当に進歩している。世界で最強のMRI装置で撮影した驚きの画像をぜひ見てもらいたい。
標準的な病院のMRI装置では数十分から1時間かかる高解像度の画像を、この機器はわずか4分で仕上げてしまう。専門家も初めて見るほど詳細に人間の脳の様子を提供してくれるのだ。
・MRIとは?
MRIとは磁気共鳴画像法(MagneticResonance Imaging)のことで、強い磁石と電磁波を使って体内の状態を断面像として描写する検査をする際に用いられる。
人体の半分は水分(水素原子)でできている。強力な磁界の中に入って電波を当てることで、その水素原子から出てきた電気信号を受信し画像化するというのがその原理だ。
CTとは異なり、放射線を使わないので被爆の心配はなく、通常のX線撮影ではわかりにくい部位を詳しく調べることができる。
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既存のMRI装置のイメージ photo by iStock・並外れた解像度を実現した最強のMRI装置
医療現場で使われるMRI装置のほとんどは、1.5または3テスラ(磁束密度の単位、Tで表す)の磁場強度を達成することができる。
だが、最強のMRI装置と言われる「イズールト(Iseult)」はなんと、11.7Tまで達している可能性があるという。
これは、1.5または3Tスキャナーでかかる時間よりもはるかに早い時間で、並外れた解像度を得られることを意味する。
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(左)一般的な病院の3Tスキャナー画像、(中)一部の幸運な研究者が使用できる7Tスキャナー画像、(右)最新の11.7Tスキャナー画像。違いがはっきりわかる / image credit:CEA・イズールトMRI装置の優れた点
検査を受けたことがある人ならわかると思うが、まず技師から言われるのは〝絶対に動かないで〟ということだろう。
これは重要なことだ。ほんのわずかに動いただけでも、本来はないはずの〝異物〟が発生してしまい、画像がぼやけて損なわれてしまう可能性があるからだ。
工事現場のような大音量が絶え間なく響く棺桶のような機械の中で、まったく動かずにじっとしているのは結構つらい。
検査は数分で済むほうが遥かに快適だろう。イズールトにはそれができるのだ。
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さらにイズールトはただ仕事が早いだけではない。その詳細な画像のおかげで、生きている人間の健康な脳と病に冒された脳を非常に細かいレベルで研究することができる。
例えば、アルツハイマー病やパーキンソン病の研究において、こうした詳細画像から脳のさまざまな部位で起こっている神経変性について新情報が得られ、より良い診断につながる可能性がある。
これくらい大きな磁場強度のスキャナーを使うと、従来のスキャナーでは検出できない化学信号をとらえることもできる。
そのひとつは、双極性障害の治療に使われることもある薬物のリチウムだ。
このスキャナーを使えば、薬物がどのように脳内に分布するかを確認することができ、その薬物がどのように作用しているのかをより深く理解できるという。
「このイズールト・プロジェクトによって、まったく新しい世界が目の前に開けました。それを探索することに興奮を隠せません」プロジェクトリーダーで、フランスの原子力・新エネルギー庁(CEA)の研究ディレクター、ニコラ・ブーラン氏は語る。
私たちの目標は、2026年から2030年までに神経変性疾患だけでなく、統合失調症や双極性障害などの精神医学に該当するその他の疾患も調査することです。
認知科学も私たちの研究における重要な鍵となるでしょう(ニコラ・ブーラン氏)
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ここまで詳しいことがわかる高解像度画像は、非常に多くの研究に役立つ可能性がある / image credit:CEA・イズールトMRIの開発
イズールトMRIの開発は、ほぼ20年にわたって行われた。
磁石の作製、機器の設置、鮮明な画像撮影を可能にする造影剤の開発、こうした最強スキャナーを最大限に活用するための新しい方法の考案などに、200人以上の人たちが関わってきた。
重量132トンのこの機器は、長さ5m、幅5mで、182kmの超電導ワイヤを内臓する。液体ヘリウムを使って磁石をマイナス271.35℃まで冷却して使用する。
「およそ20年にわたる研究開発プロジェクトの集大成をこの目で見ることができて、とても誇らしく思います」CEAの基礎研究部長アン・イザベル・エティエンヴル氏は語る。
神経科学者、物理学者、数学者、医師たちが協力して、健康な脳と病気の脳がどのように機能しているのかをより深く理解するのに役立つツールやモデルを開発し、人間の脳の探求視野を広げたのです追記:(2024/04/12)タイトル・本文を一部訂正して再送します。References:English Portal - A world premiere: the living brain imaged with unrivaled clarity thanks to the world’s most powerful MRI machine / written by konohazuku / edited by / parumo
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