遺伝子のコピペミスが人間や動物の進化に多様性を与えた (3/4ページ)
そして今回の研究では、そうした事例がいくつも発見されている。
例えば、件の共通祖先に起源があるTESMIN遺伝子とtomb遺伝子は、脊椎動物と昆虫の両方の精巣において、それぞれ独自の役割を果たしている。
それはとても重要なもので、この遺伝子が正常に働かないと精子を上手く作ることができず、マウスでもミバエでも生殖に問題を抱えるようになる。
先祖遺伝子の特殊化は、複雑な神経系が発達する基礎にもなった。脊椎動物では、神経細胞の周囲に「ミエリン鞘」(神経シグナルの高速な伝達には不可欠なもの)を形成するのに重要な遺伝子がそれだ。
人間では認知機能に重要な役割を果たすFGF17遺伝子が、もともとは共通祖先から受け継いだものだ。
昆虫では、そうした遺伝子が筋肉と表皮のクチクラを形成するために使われ、飛行能力を発達させた。
タコの皮膚では、光の刺激を感知することに特化し、忍者のようなカモフラージュ機能や、仲間とのコミュニケーション能力を支えている。
つまり、昆虫の飛行能力、タコの迷彩、人間の認知もすべてコピペミスから始まったのだ。
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・コピペミスがユニークでバランスの良い進化につながった
今回の研究では、組織レベルで種の進化を追うことで、身体の各所にある遺伝子の使われ方の変化が、動物それぞれにユニークな特徴を進化させる大きな原動力になっただろうことが明らかになった。
この研究の責任者であるマヌエル・イリミア教授は、こう結論づけている。
この研究は、遺伝子が果たす役割や機能を再考させるものです。生存に不可欠で、何百万年もの間、保存されてきた遺伝子であっても、進化の過程でいとも容易く新たな機能を獲得することができます重要な役割を守ること、新しい道を探ること、どちらも大切だが、進化はそのバランスを上手くとっているのだそうだ。