虚構だ!『源氏物語』を読んではならぬ…煩悩の嘘を書いた罪で、紫式部は地獄に堕ちてしまった?【前編】 (3/3ページ)
美しい景色を見下ろせ、空に浮かぶ月を見上げられる。紫式部もここで月を眺めたろうか…(撮影:髙野晃彰)
一大ベストセラーとなった源氏物語は、小説・絵画・映画・漫画・ドラマなどその時代のクリエーターたちがさまざまな解釈をして語り継がれてきた物語です。
その反面、平安時代から鎌倉時代ごろ、源氏物語は
「虚構の物語は煩悩そのもので、こんな作品を書いたものも読むものも堕落者だ」
「源氏物語という嘘話を広めた紫式部は人々の心を惑わせた、けしからん人物だから地獄に堕ちた」
などという話が起こりました。
「源氏物語は虚構ゆえ、作者は堕落した人間だ」という考え方
仏教『地獄草紙』「雨炎火石」(東京国立博物館蔵)wikipedia
平安時代に皇族、貴族の間で重んじられていた「仏教思想」。仏教の教えが第一で、戒律を守らないものは罪深いことと考えられていました。守らなければならない戒律の一つにあったのが「嘘はいけない」。
想像の世界から生み出された文学は、仏教の戒律的には「嘘」として解釈され、虚構の物語を紡ぎ人々を夢中にさせる作者は、堕落した人間だという考えだったのです。
平安末期の仏教説話集『宝物集(ほうぶつしゅう)』に、「紫式部が虚言で源氏物語を作った罪で地獄に行った」という一文があるとか。
また、鎌倉時代中期の説話集『今物語』にも「源氏物語は事実ではない、あだめいたことを書いてある。紫式部はあの世で灼熱地獄に堕ちて責苦を受けているので 供養をしたい」というような話も登場します。
そして、源氏物語と紫式部を供養する「源氏供養」が生まれたのでした。
【後編】ではその『源氏供養』についてご紹介しましょう。
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