うつ病、統合失調症、双極性障害はヒトゲノムに存在する古代ウイルスと関連している (2/4ページ)
たとえばHERVsは、ほかの遺伝子の発現を制御できる。発現とは、そのDNA断片がRNA分子を作るのに使われているということだ。
その結果として作られるRNA分子は、タンパク質を作る仲介役となったり、ほかの遺伝子の制御を助けたりする。
HERVsの中には、脳細胞と脳細胞の結合に関する遺伝子発現を制御するものもあるし、血液や脳内でRNAやタンパク質さえ作ってしまうものもある。
さらにHERVsが起源であるヒト遺伝子すら発見されている。
たとえば、HERVsに由来するヒト遺伝子「Syncytin 1」と「Syncytin 2」は、胎盤が発生するときとても大切な役割を果たしている。
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photo by iStock・古代ウイルスは精神疾患に関連していた
ヒトゲノムに組み込まれた元ウイルスのDNA配列がこれほどさまざまな役割を担っているのなら、それが精神に影響することはないのだろうか?
キングス・カレッジ・ロンドンなどの研究チームはそれを知るためにまず、およそ800の脳サンプルを対象に、私たちの頭の中でHERVsがどのように発現しているのか調べてみた。
その結果特定された脳内HERVsの発現を左右するDNA変異を、何百万人もの遺伝的な違いを比較した大規模研究と照らし合わせてみた。
こうして明らかになったのが、4つのHERVsの発現が、主要な精神疾患になりやすい遺伝子と関係しているということだ。
具体的には、2つのHERVsの発現は統合失調症と、1つは統合失調症と双極性障害の両方、もう1つはうつ病と関係していたのだ。