『源氏物語』に登場する色好みな老女「源典侍」のモデル、実は紫式部の義姉だった!?【光る君へ】

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『源氏物語』に登場する色好みな老女「源典侍」のモデル、実は紫式部の義姉だった!?【光る君へ】

紫式部が書いた長編小説『源氏物語』は平安文学の最高傑作として知られ、千年の歳月を経て世界中の人々に愛されています。

作中には様々な女性が登場して物語を彩りますが、その中でも笑われ役として知られる三人がこちら。

末摘花(すえつむはな) 近江君(おうみのきみ) 源典侍(げんのないしのすけ)

今回はこの源典侍と、そのモデルという説がある女性について紹介したいと思います。

老いてなお色好み

源典侍(イメージ)

源典侍とは桐壺帝(きりつぼてい。架空の天皇陛下)に典侍(ないしのすけ。内侍所の次官)として仕えた女房で、源の姓が示すとおり元は皇族につながるやんごとなき女性でした。

琵琶を弾くのが得意で、美貌と才知に恵まれていたものの、老いてなお若作りで色好みなのが玉に瑕です。

光源氏からのアプローチに本気で応じたり、光源氏との仲を吹聴したりなど、なかなかの曲者でした。

ちなみに推定年齢は初登場時点で50代後半。その後も10数年ほど70歳前後まで生き永らえ、光源氏から

「よい人は早く亡くなるのに、彼女のような人は生き永らえるのだなぁ(意訳)」

などとぼやかれています。

道長側室とは別人!源明子とは

藤原説孝夫妻(イメージ)

そんな源典侍のモデルとなったと言われているのは、紫式部の義姉に当たる源明子(めいし/あきこ)。

と言っても藤原道長の側室である源明子(あきらけいこ)とは同姓同名の別人です。

彼女は源信明(さねあきら)の娘で、藤原宣孝の兄である藤原説孝(ときたか)の妻でした。

息子に藤原賴明(よりあきら)を生んでいるものの、それ以外については詳しく分かっていません。

もし彼女が源典侍のモデルだとすれば、目に余るほどの色好みだったことでしょう。

その振る舞いに眉をひそめた紫式部が源典侍というキャラを生み出したのか、あるいは源典侍というキャラがいて、たまたま彼女と似ていたのかも知れません。

文学作品の登場人物が、作者の知人や友人をモデルにしていることは珍しくないため、どちらもありえそうですね。

終わりに

尾形月耕「源氏五十四帖 紅葉賀(源典侍が初登場する帖)」。頭中将と舞う光源氏。

今回は『源氏物語』に登場する源典侍のモデルと言われる紫式部の義姉・源明子について紹介してきました。

NHK大河ドラマ「光る君へ」に登場することはないでしょうが、もしかしたら似たようなキャラが登場するかも知れません。

『源氏物語』の笑われ役である末摘花や近江君についても、どこかにそれらしい要素を持ったキャラが出てこないか、楽しみにしています。

※参考文献:

『新編纂図本朝尊卑分脈系譜雑類要集 第7巻』国立国会図書館デジタルコレクション 『新訂増補 国史大系〔普及版〕尊卑分脉 第三篇』吉川弘文館、1966年1月

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