20人に1人は薬物依存?イスラム教国イラン国民のリアル (2/2ページ)

新刊JP

イランでは同性愛は違法。発覚すると死刑になることもあるというから、恐ろしい。一般の人のLGBTへの差別意識も、日本と比べるとかなり強いようだ。

ただ、テヘランには「ダーネシジュ公園」という、有名なゲイの人々の溜まり場がある。出会いや売春を目的とする男性たちでごった返しているのだが、若宮さんによると彼らが摘発されたという話は滅多に聞かないのだそう。イランがLGBTに寛容な国ではないのは確かだが、窮屈な思いをしながらも彼らが生きていく道がないわけではない、というのがイランの現実なのだろう。

また薬物についても、表向き厳格に禁じられているようでいて、実情はイメージとは異なる。「20人に1人以上は何らかの薬物に依存している」とする統計があるくらい、イランは日本よりもはるかに薬物汚染が進んでいるのだ。

もともと、イランにはアヘン吸引の文化があり、今でも出回っているが、こちらは「おじさまの嗜好品」という位置付け、若者にはマリファナの方が人気なのだそう。こうした薬物は、「アウトローのたしなみ」というわけではなく、イスラム法学者たちが実はアヘンの上客だということは、イラン人の間で広く知られているという。どんなに禁止しても、当局の目を盗んでやる人はやる、というのはどんな国でも変わらないということだろう。

とかく禁止事項やタブーの多いイスラムの教えをイランの国民はどう考えているのだろうか。そして、そのイスラムを国の統治のために振りかざすイラン指導層に対して、国民はどんな感情を持っているのだろうか。

本書からは、大半がイスラム教徒であるイラン国民が必ずしもイスラムの教えを率直に信じているわけではなく、体裁や生活上の利便性といった様々な理由から敬虔さを演じていたり、イスラムの教えに幻滅していながらイスラムを棄教していない現実が浮かび上がる。イスラム世界の「建前」と「リアル」を知ることができる刺激的な一冊だ。

(新刊JP編集部)

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