激増する発達障害 その背後にある「誤診」とは (2/2ページ)
◾️さまざまな要因によるものをひとくくりに「発達障害」とする弊害
現在の発達障害の診断は要因も症状もあまりにも多様なものがひとまとめになっていると本書では指摘している。具体的には、遺伝的や要因や器質的要因が強い本来の意味の発達障害も、養育や生活環境要因で起きた発達障害も一様に「発達障害」にくくってしまっているという。両者は症状こそ似ているが、重症度や回復に違いがあるため、両者を同じくくりに入れることでさまざまな不都合が生じてしまう。
そして、今比率がどんどんあがっているのは後者。環境要因の関与が強く、症状が比較的軽い発達障害だという。両者を一様に「発達障害」とくくることで、発達障害について語るときの話が食い違ってしまうし、どんな対処をするかも変わってくる。これが、発達障害の考え方が広範に行き渡ってしまった弊害なのだろう。
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本書では、環境要因の強いタイプの発達障害について、その実態は「愛着障害」なのではないかと指摘している。ただ、愛着障害は一般的に特別に悲惨な境遇の子どもに用いられる。子どもが愛着障害であると親に指摘することは、間接的に「親の責任」を指摘することになるため、専門家としては勇気がいる行動となる。
親が子育てに自信をなくしてしまう事態を避けるために、現在でも「愛着障害」よりも「発達障害」という診断が圧倒的に使われているのだという。つまりは「方便」が使われているのだが、これによって問題の所在を突き止め対処するのが遅れることになりかねない。今では誰もが耳にし、口にするようになった「発達障害」の現実を垣間見せてくれる一冊である。
(新刊JP編集部)