激増する発達障害 その背後にある「誤診」とは (1/2ページ)
この20年ほどで「発達障害」という言葉は急速に広がり、一般にも認知されるようになった。それによって適切な診断と対処の機会が得られようになったのは、もちろん社会としての前進ではある。ただ、その弊害についても考える時期に来ているのかもしれない。
というのも、「発達障害」と診断されるケースは、今猛烈に増えているのである。そもそも発達障害は、生物学的基盤によって起こる、中枢神経の機能的発達の障害とされ、遺伝的要因が強いことが知られている。『「愛着障害」なのに「発達障害」と診断される人たち』(岡田尊司著、幻冬舎刊)によると、ADHD(注意欠陥/多動性障害)やASD(自閉スペクトラム症)といった代表的な発達障害の遺伝率は約8割。代表的な精神病である統合失調症の遺伝率と近い。ところが、統合失調症の有病率は横ばいか減少傾向なのに、発達障害だけが急増しているのだという。
◾️発達障害激増の背後にある「誤診」の存在本書では、この現象の背後にある「誤診」、あるいは「過剰診断」の存在を指摘している。発達障害という考え方があまりにも広がりすぎたことで、あくまで「平均的」ということでしかない発達の仕方が、「本来期待される健常な発達」として認知され、それ以外の発達の仕方を「障害」だとする見方になりかねない。
こうした見方が広がると、平均的な発達からずれた子は、すべて「発達障害」に見えてしまう。実際、隠れている発達障害を見抜くことが、専門家の腕の見せどころであるかのような時期があり、その時期は競うように発達障害の診断が下されていた。これは、近年の発達障害の急増の理由の一つといえる。
ただ、本来子どもの発達や成長は一様なものではなく、さまざまなグラデーションがある。一般に考えられている以上に、発達の仕方には個人差やタイプがあるのである。それゆえに「正常な発達」と「そうでない発達」を切り分けることは意味を持たない。個々人の発達のタイプによって、情報処理の特性も、社会性や情緒、認知、行動は異なる。それは、あくまで「個性」なのである。