タイの墓地で、幽霊となった死者のための映画観賞会が開催される
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死んだ人だってきっと現世の娯楽を楽しみたいと思っているはず。ドラマやマンガの続きが見たいとか、好きなバンドのライブに行きたかったとか、そんな心残りがいっぱいあるに違いないんだ。
微笑みの国タイの人たちも、そんな死者たちの望みを叶えたいと思ったのかもしれない。なんと先月、墓地を会場にして、死者のための映画上映会が開かれたそうだ。
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จ้างหนังกลางแปลงมาฉายให้ผีดูกลางสุสานกว่า 2,800 หลุมสุดวังเวง | HOTSHOT เดลินิวส์ 06/06/67・「死者」のための映画観賞会
ここはタイ東北部のナコーンラーチャシーマー県にある中国人墓地である。真っ暗な中、スクリーンの前に、空っぽの椅子がずらりと並んでいる。
そしてスクリーン上では、映画が淡々と上映されている。観客など誰もいないのに?
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実はこれ、6月2~6日にかけて開催された、死者のための映画上映会なのだ。主催したのは墓地を運営しているサワン・メッタ・タマサタン財団。
期間中、上映会は午後7時ごろに始まって、午前零時まで続けられた。幽霊以外の参加者は、墓地の職員が4人だけ。
死者のために食べ物や日用品、衣類、小さな家や車の模型なども用意され、上映会の最後には、死者のもとに届くよう燃やされたという。
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・故郷に帰れなかった華人の魂を慰める行事
この墓地で眠っているのは、かつて中国からタイに渡って来た人々だ。今回のこの上映会は、故郷に帰ることなく、文字通りタイに骨を埋めた彼らの霊を慰める目的で行われたものだそう。
タイの中華系コミュニティでは、毎年清明節(春分の日から数えて15日目、日本のお彼岸にあたる)から端午節(旧暦の5月5日)くらいの時期に、こういった上映会を開催するのが恒例になっているんだそうだ。
この様子を報道した現地のニュース番組がこちら。
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วังเวง ชวนขนลุก ฉายหนังให้ผีดูในสุสาน
実は上座部仏教の教えが広がるタイでは、一般的に日本のようにお墓を作る風習がないそうだ。タイ人の場合、火葬の後しばらく納骨堂で遺骨を保管した後、散骨するケースが多いとのこと。
この世はあくまで修業の場、輪廻の輪の中のかりそめの肉体にすぎない、ということなのだろう。
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image credit:photoAC
だが中華系の人たちは伝統的にお墓を作るので、今回の墓地にも約2,800基のお墓があるそうだ。その中のいったいどれだけの霊が、上映会に参加して楽しんでくれたのだろうか。
ちなみにタイは中華系の人が多く、一説によるとバンコクでは人口の8割が華人の血を引いているんだとか。他国の華僑とは違い、タイの中華系は現地に同化している傾向が強いようだ。
とはいえ先祖のお墓は、やはり伝統的な中国式で守っていることが多いらしく、生粋のタイ人か中華系タイ人かは「死んだときに初めてわかる」なんて言われることもあるらしい。
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image credit:photoAC・タイって実はホラーが身近な国?
ところでこの話を聞いて、なんとなく「ゲゲゲの鬼太郎」のエンディングテーマを思い出してしまった人もいるかもしれない。
あっちは妖怪たちの運動会だったけど、幽霊たちの映画上映会も「墓場で」というあたりに微笑ましさとホラー味が程よく混ざっていて、想像してみるとやっぱりちょっと怖いよね。
そういえばタイという国は、ホラー映画も洋物や和物とはまた違った雰囲気で、知る人ぞ知る人気なんである。
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タイ発ホラー映画の新たな幕開け!映画『フンパヨン 呪物に隠れた闇』本予告
日本では夏の恒例だった心霊番組もめっきり減ってきたことだし、この夏は異色のタイ・ホラーで涼んでみるのもおススメなんだ。
References:Cemetery Film Screening For Ghosts: Discover The Incredible Reason Behind The 5-Day Event / written by ruichan/ edited by parumo
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