地球に接近した小惑星「2024 MK」が、地球の重力によって軌道がズレたことが判明

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2024年6月29日、発見されたばかりの小惑星「2024 MK」が地球に大接近することが予測されていたのは前回お伝えしたとおりだが、その観測の際に地球の重力が影響して、小惑星の軌道が変化したことが明らかになった。
2024 MKは、もともと3.3年の周期で太陽を1周していたが、このたび生じた軌道のズレによって、24日ほど公転周期が短くなったと予測されている。
気になるのは、この小さいながらも危険な小惑星が、今後地球に衝突する可能性があるのかどうかだ。
・2024年6月に発見された小惑星「2024 MK」が地球に大接近
2024年6月16日(現地年月)、南アフリカにある小惑星地球衝突最終警告システム「ATLAS」によって、未知の小惑星が地球に接近していることが判明した。それが新たに発見された「2024 MK」だ。
大きさは120~260mほどだが、万が一地球に衝突すれば、大都市を消し去るのに十分なサイズだ。
それはまさに不意打ちで、発見からわずか13日後の6月29日、2024 MKは月よりも内側、地球に29万5000kmの距離まで接近し、時速3万4000kmでぶっ飛んでいった。
予測通り地球に衝突することはなかったので今我々がここにいる。
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欧州宇宙機関(ESA)が予測した2024 MKの最接近日時や大きさ、距離を表したイラスト / image credit:ESA
このニアミスをつぶさに観察していたのが、カリフォルニア州にあるNASAゴールドストーン深宇宙通信施設の天文学者たちだ。
彼らが使用する「太陽系レーダー」は、地球を通過する小惑星に電波を照射し、そこからの反射をキャッチすることで、その形状や表面の凹凸をとらえることができる。
これをもとに作られたのが、以下の「バイスタティック画像」で、2024 MKの形状がよくわかる。
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ゴールドストーン太陽系レーダーによって作成された2024 MKのバイスタティック画像/Image credit: NASA/JPL-Caltech・地球の重力で最初の予測から軌道にズレが生じた
だがこの観測によって明らかになったのは、2024 MKの形状だけではない。なんと、その軌道が最初の予測からズレたことも判明したのだ。
その原因は、小惑星が最接近した際に、地球の重力によって引き寄せられたためだと考えられている。
それまで2024 MKは、3.3年ごとに太陽を1周していた。だが、現在の軌道なら以前よりも24日早く1周すると予測されている。
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2024 MKは太陽を3.3年かけて1周していたが、軌道の変化によって、周期は24日短くなったと考えられている/Image credit: NASA/JPL/Small-Body Database Lookup・軌道のズレが地球との衝突リスクに与える影響は?
気になるのは、それが地球との衝突リスクに与える影響だ。幸いなことに、NASAによれば、危険性にはほとんど影響がないとのこと。
「その将来のルートは、当分の間、地球の脅威にはならないだろうことを示している」(NASAジェット推進研究所)
なお2024 MKが次に地球に最接近するのは、3037年だと予測されていた。しかし軌道のズレによって、それよりも数ヶ月早くなる可能性があるという。
その時2024 MKがどの程度地球に接近するのか、地球の重力によってさらに軌道が変化するのか、詳しいことは今のところ不明だ。
References:NASA’s Planetary Radar Tracks Two Large Asteroid Close Approaches / Earth's gravity knocked pyramid-size asteroid off course during recent ultra-close flyby, NASA images reveal | Live Science / written by hiroching / edited by / parumo
追記(2024/07/16)誤字を訂正して再送します。
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