Shall we ダンス?衝突する銀河と踊る初期ブラックホールを観測

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Shall we ダンス?衝突する銀河と踊る初期ブラックホールを観測
Shall we ダンス?衝突する銀河と踊る初期ブラックホールを観測

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 壮大なる「Shall we ダンス?」と言ったところだろうか?ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡によって、宇宙初期に存在した「超大質量ブラックホール」と衝突しつつある2つの銀河との華麗なダンスが観測されたそうだ。

 この超大質量ブラックホールは周囲の物質を貪りつつ、ビッグバンから10億年も経っていない初期の宇宙にある極めて明るい「クエーサー」にエネルギーを与え活性化させている。

 「PJ308-21」と名付けられたこのクエーサーは、遠方にある銀河の活動銀河核にあるが、2つの「伴銀河(衛星銀河)」と今まさに合体しようとしている。 

・大質量ブラックホールをエネルギー源として輝く天体、クエーサー
 この超大質量ブラックホールは質量が太陽20億個分に相当する巨大なもので、合体する銀河から超大質量ブラックホールに膨大な量のガスと塵が送りこまれているのだ。

 その結果ブラックホールが成長し、極めて明るく輝く恒星のようにみえる天体、クエーサー「PJ308-21」へのエネルギー供給が維持されていると考えられている。

 クエーサーは、銀河の中心にある桁外れに大きな超大質量ブラックホールが、豊富なガスと塵に取り囲まれることで誕生する。

 ガスや塵といった物質は、ブラックホールの重力によって引き寄せられ、「降着円盤」と呼ばれる円盤上の雲となってその周囲を囲み、だんだんと飲み込まれていく。

 このとき、ブラックホールの巨大な重力は降着円盤に強力な潮汐力を生じさせ、ガスと塵を6万7000℃もの高温で加熱する。

 すると降着円盤は電磁スペクトルの全域で光を放つようになる。その光は凄まじく、ときにブラックホールを宿す銀河内すべての星々を合わせたものより明るく輝く。

 ゆえにPJ308-21のようなクエーサーは、宇宙で最高クラスに明るい天体である。

 このような凄まじい現象がどのようにして起きるのか、ブラックホール自体からは知ることができない。だが、降着円盤やクエーサーにはその手がかりがある。

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大質量ブラックホールと降着円盤のイメージ/Image credit: S. Dagnello (NRAO/AUI/NSF)・クエーサー「PJ308-21」の中心は金属でできていた
 誕生してからまもない初期の宇宙は、もっとも軽くて単純な元素である「水素」と少量の「ヘリウム」で満たされていた。

 これを材料にして、宇宙で最初の星々や銀河が誕生する。こうした星々はその一生のうちに、水素やヘリウムよりももっと重たい、いわゆる「金属」と呼ばれる元素を作り出した。

 やがてこうした星々は一生を終え、超新星爆発によって金属を銀河中に散りばめた。

 これが次世代の星々の材料となる。こうしたプロセスによって、宇宙にある星々や銀河は、だんだんと金属が豊富な天体になっていった。

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PJ308-21のイオン化酸素放出マップ。複雑な三次元構造と、クエーサーの周りを巡る伴銀河のダンスが見える/Image credit: Decarli et. at / INAF / A&A 2024

 今回の研究によると、PJ308-21の中心部もまた金属が豊富で、周囲のガスや塵が「光イオン化」していることが明らかになったという。

 つまり光の粒子(光子)が電子に原子から脱出するエネルギーを与え、それによって電荷を帯びたイオンが作り出されているのだ。

 さらにPJ308-21のホスト銀河と衝突しつつある伴銀河の片方も金属が豊富で、その物質もクエーサーから浴びせられる電磁波によって部分的に光イオン化している。

 光イオン化はもう片方の伴銀河でも起きているが、こちらは急激に星が形成されることが原因であるようだ。もう1つの伴銀河や活動銀河核とは違って、それほど金属が多くないのだ。

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中央のクエーサー(QSO)の光をマスク処理し、PJ308-21の水素(赤と青)と酸素(緑)の線放出を示したもの。クエーサーのホスト銀河と伴銀河の色の違いは、内部のガスの状態や物理的性質を伝えている/Image credit: Decarli et. at / INAF / A&A 2024・銀河とブラックホールの進化に新たな光を投げかける
 こうした宇宙初期の光景を観察できたのは、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の特殊な目のおかげだ。

 PJ308-21は、普通の光やX線まで、電磁スペクトルの広い範囲にわたって光を放っている。だが、実際に観測できるのは赤外線だけだ。

 なぜなら、このクエーサーからの光が120億年以上かけて地球にやってくるまでに、宇宙の膨張によって波長が大きく引き伸ばされるからだ。この現象を「赤方偏移」という。

 赤方偏移は、天体が遠ざかることで放出される光の波長が伸びる現象で、これが光をより赤っぽく見せる。

 ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡はこうした赤外線をキャッチするのが非常に得意なのだ。

 この研究は『Astronomy & Astrophysics』に掲載される予定だ。

References:James Webb Space Telescope sees an ancient black hole dance with colliding galaxies / written by hiroching / edited by / parumo



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