宇宙人が作った説も?中国の山がピラミッドそっくりだと話題に
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地球上に現存する、古代文明を象徴するモニュメントを挙げろと言われたら、ピラミッドと答える人が多いんじゃないかと思う。
ピラミッドは「金字塔」とも呼ばれ、四角錘の形状をした巨石建造物を指す言葉である。古代エジプトのものが有名だが、メキシコやスーダンにもピラミッドは存在する。
さらには日本でも、広島県の葦嶽山をピラミッドとする説が話題になったことがある。これは自然の山をピラミッドだと考えたもの。
そしてこの度、お隣の中国でも、同じような天然の山がピラミッドではないかと話題になっていたので紹介しよう。
・カルスト地形が作り上げた「ピラミッド」
こちらが最近話題になっている、貴州省安龍県に現れた「中国のピラミッド」である。この角度で見ると、確かにピラミッドそっくりに見えるかも。
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この「ピラミッド」はもちろん、人工的に石を積み上げて作られた建造物などではない。
地質学的に見てみると、この地域は約2億年前の三畳紀に形成された、水に溶解しやすい岩盤でできている。
その岩盤が長年風雨にさらされて浸食され、現在のこのような形になった。つまりこの山はカルスト地形なのだそうだ。
カルスト地形と一口に言っても、岩盤の性質や組成によってさまざまな形が見られる。
代表的なものを挙げるなら、柱上の岩山が屹立する中国の桂林の風景や、丸い丘がぽこぽこ並んでいるフィリピンのチョコレートヒルズなどもカルスト地形だ。
お椀を伏せたような形が特徴のチョコレートヒルズ。
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image credit:photoAC
今回の安龍県の山の場合は、気候や地質構造など環境の要因による周期的な変化により、岩石の形成プロセスが繰り返し中断されたため、層状に積み重なっているように見えるらしい。
この層構造が、ちょうど石を積み上げて作ったように見えるため、ピラミッドでは?とささやかれるようになったのだ。
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この山々はもともとは木々に覆われていたが、ある時山火事が起きて木々が焼け落ちてしまった。すると山の形がはっきりわかるようになり、まるでピラミッドのような形状が姿を現したのだ。
2018年頃になると、インターネット上でこの山々が話題になり始め、観光客が訪れるようになった。・やはりささやかれたトンデモ説
日本の葦嶽山同様、こういった「謎のピラミッド(に見える山)」となると漏れなくついてくるのが、トンデモ系のいわくである。
例えば今のところ、こんなお約束の説がまことしやかにささやかれているそうだ。
・エジプトのピラミッドの原型がこの山だった!もちろんこれらの説はナンセンスとしか言いようがなく、学術的には前述の通りカルスト地形ということで決着はついている。
・地球にやって来た宇宙人が作った!
・超古代文明の遺跡だった!
・もともと古代人の墓だった!
とはいえ、どんな科学的なエビデンスも信じない、謎やロマンを求める人たちは、やはり一定数いるらしい。
こういったトンデモ説に対し、貴州師範大学地理・環境科学学院・カルスト研究院の周秋文教授は次のように語っている。
この山々は自然に形成されたもので、話題になっているような人工の建造物や墳墓ではありません。大自然の奇跡で、たまたまピラミッドのような形になっただけですそもそも上空から見ると、この山は四角錘ではないことがわかると思う。ピラミッドの定義としては「四角錘の形をした巨石建造物」というのがあるので、厳密にはこの山はピラミッドと呼べないのかもしれないな。
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現地で撮影された、周教授による解説動画はこちら。
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LIVE: Unraveling the mystery of pyramid-shaped mountains in SW China
世界のカルスト地形に興味を持った人のために、こちらの動画も貼っておこう。日本語の字幕付きで、世界各地のカルスト地形がざっくり見られるのでぜひどうぞ。
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Formation of Karst Landscape
References:China’s Pyramid-Shaped Mountains Spark Conspiracy Theories / written by ruichan/ edited by parumo
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