アメリカの先住民はなぜ、カホキアの都市を放棄したのか?その謎がますます深まる
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現在の米イリノイ州にあった、かつて繁栄を極めた古代都市「カホキア」の突然の放棄は、歴史学者たちを長い間困惑させてきた。
西暦700年ごろから、数百年に渡るわたる栄えある時代を経て、1450年頃から市民たちが次々と立ち去っていった背景には何があったのだろうか?
これまで、深刻な干ばつにより農作物が作れなくなったことが原因とする説が有力だったが、新たな研究によって、またしてもその疑問が深まることとなった。
・なぜアメリカの先住民はカホキアを放棄したのか?
現在のイリノイ州コリンズビルに位置していた「カホキア」は、西暦700~1500年くらいの間、米国中西部や南東部に広まったミシシッピー文化の中心地だった。
ところが、およそ2万人近く(5万人という説もある)の住民があるときを境に、忽然といなくなってしまった。人々の人生を変えるほどの劇的な事件が起こったとのでは?と考えられた。
この大量脱出の原因として、これまでは深刻な干ばつによる広範囲にわたる作物の不作があげられていたが、米国土地管理局とワシントン大学の新たな調査によって、そうではないことが指摘され
カホキア人は食料基盤になるものはほかにも多様にあることを知っていた。カホキアは、かつてメキシコ以北の北アメリカ最大の都市だったとされていた。
つまり、カホキア周辺の耕作地は干ばつなど気候変動に耐性があり、彼らが必要とする食料はほかにも生産できた可能性があったということだ
ヨーロッパ人が入植してくると、彼らは巨大な土塁を建造して定住した。この種のものとして最大級のモンクス・マウンドが残っている。
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モンクス・マウンド photo by iStock・少なくとも干ばつで放棄されたわけではないことが明らかに
新たな調査では、地中深くの土壌サンプルを採取、分析し、何世紀にもわたって栽培されきてきた植物の種類を示す指標となる炭素同位体(原子が残る)を探した。
植物によって炭素の痕跡は異なる。今回、炭素12と炭素13というふたつの特定の炭素同位体が人々がカホキアを離れて行った時期を通じて、変わらずに存在していたことを突き止めた。
これはつまり、干ばつで作物が作れなくなった"事件"が起こってカホキアが見捨てられたわけではないことを示している。
「作物ができない状況にありがちな、草原の草が広範囲にはびこっていたという証拠はありませんでした」ワシントン大学の考古学者ナタリー・ミュラー氏は言う。
ミュラー氏らは、進取の気性に富んだカホキア人たちは、自分たちの未来を阻む干ばつに対応できていた可能性が高いと主張する。
そのような洗練された社会には、おそらく食料貯蔵システムがちゃんと整っていたのではないかと言うのだ。
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イリノイ州カホキア・マウンド州立史跡に保存されているメキシコ北部でもっとも洗練された先史時代の先住民文明遺跡 / image credit:Joe Angeles/Washington University
研究チームは、より広範な地域での作物のパターンを把握するためにさらに研究を進め、古代の人々が行ったと思われる作物試験を実施して、それが干ばつ環境にどの程度耐えうるかを正確に調べたいとしている。
結果データから、古代の人々が気候変動に対応するのに、異なる作物に切り替えたのかどうかを知るのに役立つかもしれない。
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西暦 1000年頃のカホキアの至の日の出を表したイメージ図 / image credit:Herb Roe / WIKI commons・ますます深まる都市放棄の謎
とはいえ、これら土壌サンプルはなにが起こらなかったかについての手がかりをくれる一方、起こったことについては何も教えてくれないかもしれない。
カホキア人が自分たちの都市を捨てた事件は、思ったほど劇的な原因のせいではなく、遅々とした穏やかなプロセスで進み、多様な要因が関与していた可能性はある。
カホキア人はマウンドを築くのに多大な努力を惜しみませんでしたが、外からの圧力があって立ち去らざるを得なかったのかもしれません。当時の状況はもっと複雑だった可能性があります(ナタリー・ミュラー氏)ヨーロッパ人による北米大陸への移住が本格的に始まったのは、1600年頃からと言われている。カホキアの人々が都市を放棄したのはそれよりも約100年前だ。
外からの圧力が部族間の対立などによるものかどうかはわからないが、他にも放棄された理由としては、人口過密や伝染病の流行などが考えられているが、いずれ真実がわかる日がくるのだろうか?
本研究は『The Holocene』(2024年6月19日付)に掲載された。
References:New study adds to mystery of Cahokia exodus | EurekAlert! / written by konohazuku / edited by / parumo
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