野生で生きていけるよう、保護したヒナを親鳥そっくりの人形を作ってお世話する保護施設

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野生で生きていけるよう、保護したヒナを親鳥そっくりの人形を作ってお世話する保護施設
野生で生きていけるよう、保護したヒナを親鳥そっくりの人形を作ってお世話する保護施設

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 みんなにもよく知られているように、生まれたばかりの動物、特に鳥類のヒナの多くは、生まれて最初に見た動くモノを自分の親だと認識し、その後をついて回るようになる。

 この「刷り込み(インプリンティング)」が彼らの生存確率を上げているわけだが、不幸にも親を亡くしてしまったヒナたちが、人間を親だと思い込んでしまうと、野生で生き延びる可能性が大幅に少なくなってしまう。

 アメリカのバージニア州にある野生動物の保護施設バージニア州野生動物センター(WCV)では、保護したアメリカチョウゲンボウのヒナが自然界でも生きて行けるよう、3Dプリンターで「親鳥」を作ってお世話をしているという。



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Feeding a Baby Kestrel・生まれて間もないアメリカチョウゲンボウのヒナが保護された
 2024年6月、WCVでは親を失ったアメリカチョウゲンボウのヒナを保護した。

 アメリカチョウゲンボウはハヤブサ科ハヤブサ属の猛禽類で、日本を含めたユーラシア大陸からアフリカ大陸にかけて広く分布するチョウゲンボウの親戚である。

 WCVにとっても初めて保護する鳥というわけではなかったのだが、ここで一つ大きな問題が浮上した。

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アメリカチョウゲンボウの成鳥 photo by iStock・人間に対する「刷り込み」が行われることを危惧
 ヒナはあまりにも幼すぎたため、人間の手から直接餌を与える必要があった。しかしWCVのスタッフたちは、そうすることでヒナを野生に返したとき、悲惨な結果をもたらすのではないかと危惧した。

 WCVでアウトリーチ管理を担当するコナー・ギレスピ―さんはこう語る。
猛禽類のヒナが、本当の親の代わりに保護施設で人間によって育てられると、人間を親と思う刷り込みがされてしまう危険性があります。

つまり、人間との暮らしに慣れてしまい、野生で生き残るために必要なスキルを身につけられなくなってしまうのです
 鳥のヒナたちは、刷り込みによって親との絆が結ばれることで、厳しい自然の中で生き延びるために必要なスキルを身につけていく。

 例えば餌を与えてもらい、餌の捕り方を教えてもらい、危険から守ってもらい、何が危険なのかを教えてもらい、さらには飛び方を教えてもらい、といった具合だ。

 もしこのヒナが人間を「危険」だと認識せずに育ち、野生での生存スキルを身につけられなければ、将来自然に買えることができなくなってしまうのだ。

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・親鳥にそっくりな人形を作ってお世話をすることに
 そこでWCVのスタッフたちは、急遽親鳥そっくりな人形を使うことにした。既製品で手ごろなものがなかったため、インターンのジェンさんの案で手作りすることに。
ジェンはアメリカチョウゲンボウの成鳥の高解像度写真(オスとメス1羽ずつ)を厚手のクラフト紙に印刷して切り取り、餌やり用のトングに立体的に見えるよう貼り付けました

そして表面を拭き取ったり消毒したりして簡単に再利用できるよう、ラミネート加工を施したんです。将来、別のヒナにも使えるように


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image credit:the dodo @Wildlife Center of Virginia

 ジェンさんの努力と創造力は報われ、小さなヒナはこの「親鳥」から喜んで餌を食べた。今のところ、心配された人間への刷り込みの兆候は見られないという。

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・ヒナは本物のアメリカチョウゲンボウの育ての親の元へ
 だがやはり一番望ましいのは、本物の鳥に育ててもらうことである。WCVではこのヒナの育ての親になってくれる成鳥のアメリカチョウゲンボウを探していた。

 ヒナを保護してから1週間後。彼らは別の保護施設から、嬉しい知らせを受け取った。
私たちはヒナを育てられる成鳥を飼っている保護活動家を見つけました。これはベストなシナリオです。同種の大人がそばに存在することで、ヒナが野生でも生きていけることにつながるからです
 ヒナは早速、その保護施設に移され、現在は愛情深い育ての母のもとですくすくと育っているという。彼らのおかげで、ヒナは将来無事に野生に返されることになるはずだ。

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image credit:the dodo @Wildlife Center of Virginia

私たちは今後保護されてくる他の猛禽類のヒナたちにも、同様の対応をする予定です
 WCVは野生動物医学と臨床研究を扱う教育病院として、国際的に認められた施設である。設立以来10万匹にも及ぶ生き物たちを保護し、治療してきた実績がある。

 そして患者となった動物たちから得られた経験と教訓は、獣医学の進歩や保護政策の改善、そして何よりも野生動物たちと共存するためのより良い方法について、人々の理解の向上をもたらしているのだ。

References:Orphaned Baby Raptor Has No Idea His 'Mom' Isn't Real / written by ruichan/ edited by parumo



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