地球と金星は似ている。科学者が新たな地質学的類似点を発見
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金星は地球にいちばん似た惑星だ。隣同士でどちらも岩石惑星で、大きさや重さがほぼ同じだし、内部構造も似ている。そのため金星は金星は地球の双子星ととも言われるほどだ。
両者は地殻活動までよく似ていた可能性があることが明らかになった。とは言えとそれは過去の話で、現在金星のプレートはもう動いていない
オーストラリア、モナッシュ大学の研究者が『Nature Geoscience』(2024年8月2日付)に発表した論文によると、大昔は地球と同じように活発な地殻活動があっただろうことを明らかにしている。
そうして数十億年前に作られたのが、現在、金星の地表に見られる「テッセラ」と呼ばれる複雑に変形した高原地帯であるという。
・金星のプレートはかつて動いていたのか?
「プレートテクトニクス」とは、地表が何枚かの岩盤(プレート)で覆われており、それが動くことで、惑星を形作るという理論のことだ。
これは特に地球に限った話ではない。だが実際にプレートが活発に動いているのが確認されたのは、今のところ地球だけだ。
実は金星にもプレートはある。現在、それはほとんど動いていない。ただし過去もそうだったのかどうかは議論があり、はっきりしたことはわからない。
だが、かつての金星では限定的ながらもプレートの動きがあり、やがて今のように動かなくなったと考える学者は多い。
本当のところどうなのか解明するために、オーストラリア、モナシュ大学の地球・大気・環境学部、ファビオ・カピタニオ氏らは、金星の北極近くにある「イシュタル大陸」に注目した。
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画像の中心のすぐ下にある赤い領域がイシュタル大陸。中央の白い領域マクスウェル山 、左端の赤い部分はラクシュミー高原/ image credit:NASA/JPL/USGS / public domain/wikimedia
イシュタル大陸は、オーストラリア大陸くらいの面積をもつ地殻台地だ。平均標高は4kmほど。これはチベット高原に匹敵し、さらにヒマラヤ山脈よりも高い標高10kmもの細長い山脈に囲まれている。
こうした複雑な地形は、地球ではプレート同士が衝突することで作られる。ならば、プレートが動かないはずの金星で、こうした地形はどうやって誕生したのか?・かつて金星にも激しい地殻活動があった
その秘密を明らかにするべく、研究チームはNASAの金星探査機「マゼラン」が1990年代に集めた地形データとコンピューターモデルを組み合わせて分析を行なった。
そこから得られた結果を、地球のマントルと比較するとともに、金星の高温を踏まえて「岩石圏(地殻とマントル最上部の岩盤を合わせた部分/リソスフェア)」の強度も検証する。
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NASAの金星探査機「マゼラン」が集めたデータから作成された、イムドル地域にあるイズン山の標高モデル/Image credit: NASA/JPL-Caltech/ESA
そして判明したのは、金星の地表は強度が低いために薄くなり、溶けてしまうだろうことだ。
すると溶岩が上昇し、表面が持ち上がる。やがてマントルの抵抗が強くなると、この引き伸ばしプロセスは収まり冷え始め、折れ曲がった帯状の山脈に囲まれた高原が出来上がる。
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金星の火山のイメージ/Image credit: ESA/AOES
じつはこのプロセスは、プレートの活動が始まる前の地球で、「クラトン(安定陸塊)」という地殻の古い部分が作られたプロセスと同じだ。
これは初期の地球と金星に見られた共通点を浮き彫りにしている。カピタニオ氏は、大昔の両星は想像以上に似ていたと考えられるとプレスリリースで語っている。また、金星はかつて、地球のように水が豊富だったとすら考えられている。
金星で見つかった特徴は、地球の初期の大陸と驚くほど似ています。過去の金星で起きていたことは、想像以上に地球に似ていただろうということです(カピタニオ氏)カピタニオ氏らは、こうした金星と地球の共通点を調べることで、地球初期の歴史についても紐解くヒントが得られるだろうと期待している。
References:Venus’ “continents” suggest surprising link to early Earth - Science / Scientists Discover New Geological Link Between Earth and Venus - Universe Today / Earth's 'evil twin' Venus may have mirrored our planet more than expected | Space / written by hiroching / edited by / parumo
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