実は昔話「桃太郎」には、桃を食べたおばあさんが若返り桃太郎を産む ”回春型パターン”が古くから存在していた! (4/6ページ)

Japaaan

名もなき人々が語り継いだ物語

昔話の種となるものは、古代から中世の間に生まれたと考えられます。それがいつしか物語として形作られ、長い時間をかけて西へ東へ、日本各地に広まります。

ほとんどが口伝でよるもので、その過程で伝言ゲームのように変化していきました。語り手がアドリブで変えた設定が、その地域では定着することもあったでしょう。ですから、桃太郎ひとつとってみても、設定やディテールが違うものが無数に存在します。

桃太郎の生まれ方も、「箱から生まれる」「タンスから生まれる」など、何だそりゃ!?というものがいっぱいです。そのなかに「おばあさんが桃を食べたら、桃太郎が生まれた」とするものもあります。もしかしたら赤本の作者は、それを土台にしたのかもしれません。

とはいえ「桃を食べたら生まれる」展開は、全体から見れば一部です。口頭伝承の桃太郎誕生シーンの主流は「桃から生まれる」だったようです。

また、赤本は流行したとはいえ、主たる読者は都市に住む町人だったでしょう。交通事情などを考えれば、全国の山村漁村にまで赤本が行き渡ったとは考えにくいです。

つまりテレビやインターネットのように、ひとつのイメージを固定してしまうほどの影響力はなかったでしょう。

民俗学者の柳田国男は、赤本版に対して否定的でした。昔話を研究し『桃太郎の誕生』を著わした柳田は、桃太郎は地方で語られる果生型こそ先にあると考えたのです。

そうした名もなき村人たちが語り継いできた昔話も、大正時代から現代にかけて採集されることになります。民俗学者や昔話の研究者たちが、語り手たちから聞き取り記録しました。柳田国男も昔話採集を推進しています。

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