人権意識が皆無の平安時代…平安京の冤罪事件・犬男丸にかけられた容疑は?【光る君へ 外伝】 (3/3ページ)
春「……こいつじゃない」
獄「どういう事だ?」
牛飼童は犬男丸という名前が多く、調べてみると他にも複数名の犬男丸が判明しました。
そもそも犬男丸という名前は「戌年生まれの男の子」あるいは「オス犬の落し物(※)」という意味です。
(※)幼な子が悪霊に連れ去られないよう、幼名には人でない名前を選びました。~丸とは、そういう意味です。
獄「ならば、どの犬男丸が共犯なんだ?」
春「えーと……」
調査の結果、源頼職(よりもと)に仕える牛飼童である犬男丸が共犯と判明。源経親に仕える犬男丸は冤罪が立証されたのでした。
エピローグ
「お、犬男丸じゃねぇか。最近見ないと思ったが……何だ、人違いで捕まってたのか。間抜けな奴め。まぁ命があってよかったな、ハハハ……」世の中そんなモンである(イメージ)
「おい、もう帰っていいぞ」
釈放された犬男丸は、さぞかしボロボロだったことでしょう。
無実なのに拘束したり、拷問にかけたりして悪かったなんて言われるはずもありません。
まったく、とばっちりもいいところですが、強いて彼の非?をでっち上げるとすれば
「たまたま同じ名前の人物が罪を犯した連帯責任」
と言ったところでしょうか。
その後、春童丸と共犯の犬男丸(源頼職牛飼童)にどういう刑罰が科せられたのか、無実の犬男丸(源経親牛飼童)がどうなったのかについては、『小右記』に記述がありません。
殺された助光の一件について、そこまで深く追及する興味もなかったのでしょう。
せめて無実だった犬男丸が、幸せに暮らして欲しいと願うばかりです。
※参考文献:
倉本一宏『平安京の下級官人』講談社現代新書、2022年1月日本の文化と「今」をつなぐ - Japaaan