新たなコレクションに「橋カード」いかが? 魅力は景観と〝物語〟
読者のみなさんには、何かコレクションしているものがあるだろうか。
Jタウンネット記者はこの度、これを集めてみたら面白いんじゃないか、というアイテムを発見した。
2024年11月25日、Xにこんな画像が投稿されたのだ。
「面白いぞ! 上田地域の橋」というタイトルに、「上田地域の橋カードをゲットしよう」というキャッチコピーも添えられている。長野県上田地域には、「桁橋」「トラス橋」「アーチ橋」「ラーメン橋」「吊り橋」「斜張橋」などさまざまな形の橋があり、まっさに「橋の宝庫」と言えるようだ。しかし、「ダムカード」や「マンホールカード」は聞いたことがあったが、「橋カード」は初めてだ。
いったい何だろう? 投稿者である「どぼツリ うえだ地域インフラ研究会」(@dobotouri)は「上田の橋めぐりツアーを記念して、上田の橋カードをアンコール発行いたします」と呟いているので、以前からあったものらしいが......。
うえだ地域インフラ研究会に、詳しい話を聞いてみることにしよう。
「橋には物語がある」うえだ地域インフラ研究会のアカウント名についている「どぼツリ」とは、「土木を観る、旅する ツーリズム」のことらしい。橋やダム、砂防、道路など、インフラの魅力を研究し、長野県上田市から発信している。
取材に応じた同会事務局スタッフによると、今回配布される上田地域の「橋カード」はもともと、2019年の令和元年東日本台風で一部が崩落していたしていた上田電鉄別所線千曲川橋梁が復旧したことを記念し、「土木・環境しなの技術支援センター」が4年ほど前に制作したものだった。
長野県土木部が発行していた「信州の土木カード」の橋編として、県内の県建設事務所管内で発行されていたという。
それを今回、カードになっている「りんどう橋」が24年3月6日付で有形文化財に登録されたこと、また、11月30日に実施されたイベント「上田の橋巡り」を契機に、リクエスト発行することになった。
うえだ地域インフラ研究会はイベントの共催者で、土木・環境しなの技術支援センターと一緒に広報とカードの在庫管理を行っているという。
配布されるカードは4種類。「上田電鉄千曲川橋梁」(1924年に架橋されたトラス橋梁)、「塩野神社 太鼓橋」(塩田平にある塩野神社拝殿正面に位置する木造屋根付き橋)、「上田城二の丸橋」(上田城二の丸跡に、1927年開設された駅の鉄道を跨いだ橋)、「りんどう橋」(千曲川橋梁の部材を活用したピントラス橋)。
いずれのカードも対象の橋の周辺に設定された2つのスポット(計8か所)で配布される。
30日に開催された上田の橋めぐりツアーには、多くの橋マニアが参加したとのこと。さらにツアー終了後も、遠方からのコレクターが「橋カード、ありますか?」と訪ねてくることもあるそうだ。
コレクターたちを魅了する橋カードの魅力について、同会事務局スタッフは「橋には橋の構造やスケール、景観も素晴らしいと共に、さまざまな物語があります」と語る。
長野では他エリアのエリアでも、橋カードを作っているそうだ。
「橋のスケールでは、千曲川(=新潟県では信濃川)を渡す、隣の坂城町、千曲市の橋は大変な名橋が多く、数年前に発行されたこの地域を管轄する千曲建設事務所発行の橋カードは大変魅力的です。また、長野県中川村の国の指定文化財になっている坂戸橋は美しく、村で橋カードを発行しています」(「どぼツリ うえだ地域インフラ研究会」さん)
改めて全国の橋カード発行状況を調べてみると、東京、大阪、愛知、北海道、福島、栃木、埼玉など、長野県以外でもさかんに発行されていると分った。
「橋カード界隈」が、こんなにも賑やかだったとは......。
橋カードを求めて巡る全国の旅、これからアリかもしれない。