来園者が右肩上がりに増加中 自然と彫刻が融合する「室生山上公園芸術の森」の魅力に6.9万人ノックアウト
2025年1月19日、あるXユーザーがなんとも言えず美しい場所を紹介し、いま話題になっている。
ぐるぐると迷路のような水路が草原に伸びて行く、その先に立つ1本の樹木。
背後には深い森が見える。自然と彫刻が融合したかのような、不思議な空間だ。
Xユーザーの「shu」(@15_bxx)さんが「インスタで気になってた奈良の公園 想像以上に良かった」という呟きと共に投稿した4枚の写真付きポストには、6万9000件を超える「いいね」(1月24日時点)のほか、こんな声が寄せられている。
「わーっ!ぐるぐる 行ってみたい~!」「なんだこのデザイン! もっと有名になるべきだろ!」「絵本の世界に迷い込んだみたいな公園だ」「自然とアートの融合が美しい」「素敵な所ですね! 今度行ってみます」
この公園は、奈良県宇陀市にある「室生山上公園芸術の森」。実は、最近ちょっと人気の場所らしい。
いったいどんな公園なのか? Jタウンネット記者は投稿者「shu」さんと、奈良県宇陀市役所に話を聞いた。
天候によって刻々と表情を変える 自然と彫刻の融合宇陀市の公式サイトによると、「室生山上公園芸術の森」は、地元出身の彫刻家・井上武吉氏(1930-1997)の構想を、イスラエル人彫刻家ダニ・カラヴァン(1930-2021)の手によって形にした、空間全体が彫刻作品となった施設だ。
「山上公園」という名称を使っているが、通常の公園とは性質が異なり、完成したものはダニ・カラヴァン氏の芸術作品。そのため「芸術の森(ArtForest)」としてのコンセプトを明確にしながら、現在は細心の注意を払いながら管理を行っていると記載されている。
投稿者「shu」さんによると、現地を訪れたのは2024年12月23日の午後3時頃だった。「少し雲が多くはありましたが、撮影した方向の空は晴れ間が見えていて、日差しも強くなく心地よい天気でした」と、撮影時の天候について語る。
「今回この場所には初めて行きました。インスタなどで前から興味はありましたが、車などの移動手段がないと、なかなか行けないところだったので、行けていなかったです。そんな時にバイトの先輩達に誘ってもらって行くことができました」「撮影するにあたって、できるだけ目で見た良さを写真にも入れたかったので、水面との反射している光景を水面に反射する風景が自然に連続するように彩度を調整したり、自然と作品の関係がうまく伝わるように配置バランスを工夫するのに少し苦労しました」(「shu」さん)
天候によって刻々と表情を変える彫刻の一瞬を切り取るのは、なかなか至難の技だったのかもしれない。それにしても自然と彫刻の融合とは、なんとも贅沢な試みではないか。
「shu」さんに、公園の感想を尋ねると、「自然の中に急に現れた空間にポツンと作品が配置されている光景が、非常に印象的だなと思いました。作品自体も特徴的なものが多く実際に登ったり通ったり、中に入ったりできるので、それぞれの作品を各々がそれぞれの楽しみ方で体験できてとても面白いと感じました」と語った。
入園者、右肩上がりに増加中 冬季の臨時開園も普通の公園とは明らかに違う、彫刻を集めた美術館とも異なる、不思議な体験ができる独特な空間、それが「室生山上公園芸術の森」。多くの人々の感動を呼んでいるのもなんとなく理解できるような気がしてきた。
「一度その空間に行くと忘れることができず、またきてずっと居たいと思えるような空間体験ができるところに非常に魅力を感じます」と、「shu」さん。建築を学ぶ彼にとっては、とくに印象的だったという。
ところで「室生山上公園芸術の森」は、例年、12月29日~2月末日まで休園していたが、2025年1月11日から2月末の土日祝日に限り臨時開園しているらしい。
いったい、なぜ? 宇陀市役所に電話で聞いてみた。管理する建設部公園課の担当者がこう答えてくれた。
「おかげさまで入園者が右肩上がりに増えておりまして、観光需要の高まりを実感しています。そのため、冬季閉園中の土日祝日のみ開園することになりました」「公園に向かう山道はもちろん、園路も凍結し滑りやすくなっている場合がありますので、滑りにくい靴を履くなど、足元に用心して、転倒事故にご注意ください」(宇陀市役所担当者)
冬の「室生山上公園」の彫刻たちは、はたしてどんな表情をしているのだろうか? 確かめてみる良いチャンスかもしれない。