電車におびえる御曹司に起きた、トラブルからの怪我の功名【御曹司に恋はムズすぎる#3】
※このコラムは『御曹司に恋はムズすぎる』3話までのネタバレを含んでいます。
■無意識に追いかけたい本能を刺激された昴
傘を貸す貸さないで押し問答をしている中、雨の中に走り出そうとするまどか(山下美月)をグッと引き寄せ、「お前が好きだ」と無意識に告白してしまった稀代のナルシストであり、服天の御曹司・天堂昴(永瀬廉)。
しかし「ないないない!」とすぐに我に帰り、もはや自分の言動が脳の支配下に置けていないほど、感情が先走っている模様。
するとそこに現れたのが、二人の上司であり、まどかが尊敬する人物でもある成田(小関裕太)。まどかの傘がないことに気づき、「入ってく? 送るよ」とスマートにまどかを掻っ攫っていきます。
「なんであいつと帰るんだ! 普通俺選ぶだろ!」と、またしても当然まどかが自分のものになると慢心していたら、さらっと手元から消えてしまったことで、男性の本能とも言える「追いたいスイッチ」が押されてしまいます。
■シゴデキを斜め上の方向で発揮する昴
服天のプロジェクトチームメンバーから希望者を募って取引先の店舗に見学に行くことに。意外にも昴も前のめりで立候補。しかし、その移動手段は電車です。
超絶おぼっちゃまな昴は電車に乗ったことがないどころか、祖父から「絶対に電車に乗っちゃいけないよ。この中にはスリやチカンなど、危険に溢れている」とトンデモ教育を受け、電車へ恐怖心を抱いている模様。
秒速で資料を作成し、「電車がいかに危険であり、車移動を採用すべきか!」をチームにプレゼンする始末。会社を潰しまくってきた今までのダメ経歴の一方で、今回のような仕事の速さや研修での知識量など、シゴデキなのかポンコツなのか、いまいち能力の発揮され方にムラがある昴。
とはいえ、一般人にとっては日常の乗り物である電車。「アクセスの良さと社員の命、どちらが大事ですか!?」という、デッドオアアライブレベルの悲痛な訴えは即却下され、どうしても成田とまどかを二人きりにさせたくないがために、恐怖心に耐えながら電車に乗ることを決意します。
■末期の病に狂わされ、卒倒する昴
今まで女性に追われてきた昴の人生。まどかに抱くこの感情が「嫉妬」である、と初めて言語化されて困惑しまくります。そんな中で成田とまどかが二人で飲みに行くことを知り、今度は嫉妬が爆発して卒倒。重篤な恋の病にかかっているにも関わらず、自覚のない昴。
カードや車をちらつかせれば即座に女性を落とすことができた今までの恋愛セオリーと違いすぎて、まどかにどう接したらいいのか思考回路はショート寸前。もはや末期症状です。
その上、まどかの後輩・三上(中村里帆)からは「(昴では)まどかは落とせない」と助言され、気が気じゃありません。そこで得た情報は、「まどかはちゃんと苦労して地に足がついた精神的に大人な人がタイプ。ピカピカの新車よりボロボロの中古車の方が好き」という後輩のまどかプロファイリング。
なんでも額面通りに受け取りがちな素直な昴なので、愛車のピカピカなマセラティを即買取に出して、白のオンボロハイエースでも購入してくるのでは……と一抹の不安を抱きましたが、「先輩(まどか)の目に映る天堂さんは5歳児」の方がショックだったため、こちらの言葉に脳内が支配された模様。この言葉がなければ多分カーセンサーあたりに中古車買いに走ってました。
■輩と肖像権ガン無視女子高生に運命の歯車を狂わされた昴
取引先見学に向け、事前リサーチを始める昴。「知識0で行ったらバカ丸出し。食わず嫌いをせずに挑戦すれば新しい発見があるかも! だから子供服に興味はないけど明日絶対行くからな!」と、先日のトマト料理で得た教訓をもとに前向きな姿勢を見せ、まどかもまた一つ昴を見直します。
がしかし当日。電車に乗るため怯えながら駅に向かった昴は、輩に絡まれ、肖像権ガン無視の女子高生に「イケメン!」と勝手に写真を撮られるなど、じいさんのトンチキ教育「電車は危険」がフラッシュバックし、乗ることを断念。
さらなる魔境、バスに手を出そうとします。地元の乗り慣れた者でないとなかなか乗りこなすのは難しいバス。看板を見ていると、なんとバッグが置き引きに盗難されてしまうのです。
■約束を守り抜き、自分の履かされていた下駄に気づく昴
結局、昴が待ち合わせ場所どころか、店舗にも姿を表さなかったことに少しがっかりした様子のまどか。しかし帰宅しても昴はまだ家に帰っていない様子。不思議に思ったまどかは、今までのまっすぐな昴の行動や、昨日の「明日絶対行くからな!」の意気込みがフラッシュバックし、店に再度向かいます。
すると店の前には座っている昴の姿が。何もかも失った昴は歩いて現地に向かい、「絶対行く」という約束を果たしたのです。もちろん到着したのは約束の時間など、とうに過ぎた夜。
「絶対に行く」という言葉をまどかは信じ、昴は守ったからこそ、再会でき、お互いの信頼を深めることができました。
そして昴は今回の出来事から「庶民生活がこんなにしんどいなんて思いもしなかった。俺は金がなきゃ何もできない」と、今までじいさんから易々と与えられて穿かされていた下駄によって、物、サービス、人の心、あらゆるものを簡単に手に入れることができていたことに気がつくのです。
■ピカピカの靴から、まどかの心を打つボロボロの靴に
何時間もかけて歩いたことでピカピカだった昴の高級靴がボロボロになっているのを見て、ピカピカの新車よりボロボロの中古車が好きなまどかの心にも響くものがあったのでしょう。
服をあれほどまでに大切にする昴が靴をここまでにして歩いてきたことや、トラブルを乗り越え実直に約束を守ろうとした昴に「その根性があればどんな庶民生活だって送れますよ」と声をかけ、昴の汚れた靴をはらいます。
すると、またしても脳内で行動を制御できず感情に支配されてしまった昴。「やっぱり俺……」とまどかにキスをしようとしたところで次回に……。
次回冒頭ではまたも途中で理性が戻り、昴は我に帰るのでしょうか。閉店後とはいえ、取引先の店の入り口に二人で座りこみ、そこでキスするなど、なかなかのタマ。さっきまで見学してた取引先の人物が見ていたら、と思うとマジでホラーです。
取引先の人が通りかからないことをとにかく祈りつつ、胸キュンキスを期待しながら次回を待ちましょう。
(やまとなでし子)