公私混同しちゃったカップル問題と、元カノが自分に似ていた時のモヤモヤ【未恋~かくれぼっちたち~#4】
※本コラムは『未恋〜かくれぼっちたち〜』第4話までのネタバレを含みます。
■「ありがとう」に切なさを感じるのは宇多田ヒカルだけでいい
宇多田ヒカルさんの『Flavor Of Life』に登場する<ありがとう、と君に言われると なんだかせつない>というフレーズを初めて聴いた時、「なんじゃ、この天才はぁあああ!」と思ったのを覚えています。たしかに、親しい人から「ありがとう」と言われると、なんだかちょっぴり他人行儀な気持ちになって、切なくなったりするなって。
ただ、「ありがとう」に切なさを感じるのは、宇多田ヒカルだけでいい! いや、感じてもいいけれど、健斗(伊藤健太郎)みたいに本人に直接伝えないでほしい! だって、みなみ(愛希れいか)は「健斗がいてくれて、本当に良かった。ありがとう」と言っただけなのに、「柿沼さんは、ありがとうって言われて嬉しい?」なんて返されたら、「いやいや、どういうこと!」ってなるじゃないですか。
健斗は、みなみに「ありがとう」と言われたことで、缶詰屋敷プロジェクトで過ごす日々が終わっちゃうんだなぁ……とかいろいろなことを考えて切なくなったんだろうけど、その“いろいろ”を具体的に伝えなければ、意味が分からなくなってしまう。健斗って、わりと言葉足らずなところがあるなぁと思います。
■“ポップな嫉妬なら逆にかわいく見える説”を立証したゆず
「嫉妬深い女は面倒くさい」と男性はよく言うけれど、“ポップな嫉妬なら逆にかわいく見える説”を、ゆず(弓木奈於)が立証してくれました(パチパチ)!
例えば、ゆずは健斗に嫉妬心をぶつける時、いつも上目遣いなんですよね。それで、語尾をちょっと上げて、ふざけた感じで怒るんです。天然なのか計算なのかは分からないけれど、「あなたに敵意はありませんよ」とアピールをしながら本音を伝えられるから、コミュニケーション術としても最強!
ほら、「さっきの女、誰だよ!??」ってガンを飛ばしながら言われたら、男性側も「は? 何もないのになんでそんな疑われなきゃなんねーの?」と言い返したくもなるもの。でも、ゆずはポップに嫉妬心をぶつけるからこそ、健斗も「かわいいなぁ」と感じるし、「大丈夫だよ」と安心させてあげたくなるんだと思います。
■元カノが自分に似ていたら、なんか嫌な気持ちになりませんか?
健斗の親友・一平(森永悠希)に、健斗とみなみの関係性を問いただしたゆず。すると、「恋人とかやのうて、心と心で通じ合ってたみたいな。ソウルメイト的な」という答えが返ってきました。
ゆずも言っていたけれど、それって“元恋人”よりも罪深くないですか? なんか、“特別枠”って感じがする! 正直、「もう、みなみには関わらないで!」と言いたいところだけれど、健斗とみなみは同じ会社の同じ部署で働いているというのが、またしんどい。ゆずが「最悪じゃん!」って言いたくなるのも無理ないです。
あと、一平はゆずを安心させるために「(健斗とみなみは)作家と担当編集みたいな関係」と言ったんだろうけど、逆効果でしたよね。だって、実際にゆずと健斗は作家と担当編集なわけで。こんなことを聞いたら、「健斗はそもそも、作家タイプの女の子が好きなのか?」「わたしと付き合ったということは、みなみともありえるかもしれない……」ってもっと不安になっちゃう。
これはわたしだけかもしれませんが、元カノと自分が似ていたら、なんか嫌な気持ちになりませんか? 顔の特徴でも職業でもなんでもいいんですけど、「〇〇だから好きになったのかな」と条件で選ばれたような気持ちになっちゃうんです。「ということは、〇〇な子がほかに現れたら、それでもいいの?」って(思うだけで、聞きはしないけど)。ただ、まったく系統が違うとそれもそれで……(笑)。もう、本当に面倒くさくてごめんなさい!
■公私混同しちゃったカップルって、どうしているんだろう?
新人編集の星(鈴木大河)が、健斗の前で“女子バスケの金メダリストと、コーチが熱愛発覚”というニュースを読み、「いるんだよなぁ、公私混同する大人って」とおふざけ半分で嫌味を言う場面がありました。
わたしはそういう経験がないのですが、明らかな上下関係ができている2人がカップルになった場合って、かなりの努力が必要ですよね? 健斗とゆずも、関係性をうまく切り替えるための努力をしなきゃいけないと思うんです。
例えば、健斗にとってゆずは上の立場だから、自ら「敬語やめて、タメ語にしていい?」とか言えないじゃないですか。だから、ゆずが「いつまで敬語なの? いつまでも、作家と編集者みたいな関係じゃない? 彼氏なんだよね?」と先に動いたんだと思います。
それにより敬語問題は解決されたけど、健斗のなかでゆずは“彼女”ではなく“作家”なんですよね。もちろん、深い愛情があるのは分かるけれど、それは“彼氏”としてじゃなくて、“担当編集”だからなのでは? と感じさせてしまう行動や発言が多々ある。
例えば、酔っ払って帰ってきたゆずが「み〜んな大嫌い!」と愚痴を吐いた時、健斗は「サイン会の時ファンの人に言われたこととか、一つひとつ気にしなくていいよ。ゆずが言われて嬉しい言葉だけ受け取ったらいいから。ね?」と声をかけていました。
ここでわたしは、「いやいや、なんで第三者視点やねん!」「この“み〜んな”には、健斗も含まれてるんよ!」「ってか、8割くらいが健斗のせいなんよ!」とツッコミを入れたくなっちゃった。もちろん、サイン会でファンの人に言われた言葉にも傷ついていたんだろうけど、それより健斗とみなみの関係にモヤモヤしている部分が大きいと思うんです。
ゆずも、健斗の関係性がうまくいっている時なら、みなみの存在もそこまで気にならないかもしれない。でも、“作家”と“担当編集”という枠を超えられていないからこそ、焦ってしまうんですよね。
ゆずは、「小説家目指してたとか、わたし聞いてない。なんで言ってくれないの? 鈴木みなみのことも、なんで言ってくれなかったの?」と怒りをぶつけながら、「言わないってことは、言えないってことなんだよな……」と悟ってしまいます。
現段階では、ゆずにとってみなみは恋敵みたいになっているけれど、いちばんの問題は、みなみが現れる前から、健斗とゆずの関係はギクシャクしていたこと。そこに気づかないと、いつまで経ってもお互い辛いままになってしまいそう……。
個人的には、“家に帰ったら仕事の話は一切しない”とかいうルールを作った方がいいのでは? と思います。一平が健斗にアドバイスをしてあげてくれ〜! では、また次回の放送でお会いしましょう。
(菜本かな)