タイルの間で息づく〝ド根性絶滅危惧種〟にネット騒然 「こんなところに咲いとるやんけぇ!」
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ポツンと生えていた草が、実はとんでもない希少種だった――。
そんな報告が、X上で注目を集めている。
その希少種は今、小笠原諸島の父島にある小笠原世界遺産センターにある。
しかし、施設内のガラスケースの中で厳重に保管・展示されている、というわけではない。
何故なら、その希少種が生えていたのがこの施設の敷地内。そして、ポツンと生えている状態のまま保持されているのだ。
建物へ向かう階段の下、タイルの隙間からちょこんと生えた草。そこに、博物館でよく見るタイプの説明パネルが添えられている。
それによれば、希少種の名前は「シマカコソウ」。
一体、どんな植物なのか。どうしてこんな変わった方法で展示しているのか。
Jタウンネット記者は14日、同センターに詳しい話を聞いた。
実は絶滅危惧種です取材に応じた同センターの広報担当者によると、シマカコソウは漢字で書くと「島夏枯草」。
シソ科キランソウ属に分類される小笠原諸島の固有種で、元来の生息地はやや湿った林縁部や、潮風があたりやすい崖地などだ。
実は、環境省第4次レッドリストにおいて絶滅危惧ⅠB類(EN)に分類される「国内希少野生動植物種」であり、特に父島ではヤギによる食害の影響もあって著しく数が減少しているという。
そんな希少なシマカコソウが同センター入り口の階段下に生えたきっかけは、2020年1月に施設で開催した植物展だ。
その際、展示していた鉢植えから種が飛び、最初の株が階段下に発芽したのではないか、と同担当者は推測する。
「その後、来館者に踏まれないようにするための他、希少植物(絶滅危惧種)を紹介する意味も込めて、同年の夏以降に種名板を設置。22年後半に親株が枯れて一度消失したものの、23年6月に階段下で再び新芽が発見されました」(広報担当者)
厳重に保管されているでもなく、ごくごく自然な形で展示されている「希少植物」。その〝ど根性っぷり〟に、X上ではこんな声が寄せられている。
「絶滅危惧種がこんなところに咲いとるやんけぇ!」「こう言うの下手に保護しても枯れそうだからなあ」「最初に花の種類に気づいた人もきっと『えっ!?』って言ってそう」
なお、絶滅危惧種ではあるものの、センターでは今後も特に何か手を入れる予定はないそうで、
「『ど根性希少種』としてこれからも見守っていく方針です」
と担当者は語った。
また、17日には公式インスタグラム(@ogasawara_whc)で「今年の花期はもう終わってしまったようですが、来年もまた花を咲かせてくれることを願いつつ、ひっそりと見守っていこうと思います」と発信。次の冬、珍しい花に会いに小笠原に行ってみるのもいいかもしれない。