大河『べらぼう』平賀源内と言えば発明品「エレキテル」…で、エレキテルって何?その仕組みや由来を紹介

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大河『べらぼう』平賀源内と言えば発明品「エレキテル」…で、エレキテルって何?その仕組みや由来を紹介

江戸時代を代表する発明家と言えば、多くの方が平賀源内(ひらが げんない)を思い浮かべるのではないでしょうか。

そして平賀源内の発明品と言えば、エレキテルを思い浮かべることと思われます。

エレキテル…電気を使った何かの絡繰(からくり)であることは知っていても、その原理や機能についてまでは、あまりよく知られていません。

そこで今回は平賀源内の発明品?であるエレキテルについて紹介したいと思います。

日本にやって来た「ゐれきせゑりていと」

エレキテル(イメージ)

実はこのエレキテル、平賀源内が一から発明したものではなく、舶来品を修理・復元したのが始まりでした。

元はオランダで発明され、宮廷における医療器具または見世物として使われていたと言います。

これが日本にやってきたのは宝暦元年(1751年)ごろ、オランダ人が幕府に献上。

特に名前はなかったのか、ラテン語で電気や電流を意味するElektriciteit(エレクトリシテート)と呼ばれました。

これを平賀源内は当初「ゐれきせゑりていと(エレキセーリテイト)」と呼んでいます。※以下エレキテルで統一。

かくして日本へやってきたエレキテルですが、あまり世間には広まらなかったようです。

十年以上にわたってエレキテルはしまい込まれ、明和2年(1765年)に後藤利春『紅毛談(オランダばなし)』で言及される程度でした。

6年がかりでエレキテルの復元に成功

平賀源内(画像:Wikipedia)

遠い異国には、そんな酔狂な代物があるんだねぇ……多くの人はその程度の興味でしたが、我らが源内先生は一味違います。

明和7年(1770年)、源内は長崎の滞在中にオランダ通詞の西善三郎(にし ぜんざぶろう)から壊れたエレキテルを購入しました。

「こんなガラクタ、どうすんですか?」

「決まってらぁ、直すんだよ!」

職人の弥七(やしち)と二人がかりでエレキテルの修理に着手した源内は、苦心の末にエレキテルの復元・模造に成功したのです。

時は安永5年(1776年)、実に6年がかりの大仕事でした。

エレキテルの仕組み

起こした電気を、どう事業化・収益化するかが源内の鬼門だった?(イメージ)

さてこのエレキテル、静電気を集めて火花をパチッと鳴らす絡繰仕掛けです。

外からハンドルを回すと中で蓄電瓶(ライデン瓶)が摩擦して静電気を蓄え、溜まった静電気が導線を通じて、外の電極からパチッと放電されるという次第。

まったくもって不思議な限り。これは雷神様の神通力か……源内は静電気の発生を陰陽道や仏教をもって論じており、電磁気学に関する体系的な知識を持っていた訳ではなさそうです。

しかしそんな中でエレキテルを見よう見まねで作ってしまうのだから、やはり流石は源内先生……と言ったところでしょうか。

しかしこれが何に使えるのか?と聞かれると……やはり見世物とか気休めの医療程度にしか使えませんでした。

世が世なら、もっと才能を開花・結実させられたかも知れないのに……やがて源内は刃傷沙汰で投獄され、そのまま獄死してしまったのです。

時に安永8年(1780年)12月18日、その死は多くの人士から悼まれたのでした。

その後のエレキテル

『紅毛雑話』より「野禮幾的爾(エレキテル)之図」

源内が非業の獄死を遂げた数十年後、大阪では蘭学者の橋本宗吉(はしもと そうきち)が『阿蘭陀始制エレキテル究理原』を出版。自らもエレキテルを製作しました。

手をつないで円になった人々の身体に通電させる「百人おどし」を実演するなど人気を博したものの、寛政の改革によって娯楽や研究などが規制されてしまいます。

そのため電気に関する研究事業は停滞し、日本の電気技術は明治期の文明開化を待つこととなりました。

源内が製作したと伝わるエレキテルはいくつか現存しており、そのうち1台は国の重要文化財として郵政博物館(東京都墨田区)に、もう1台は平賀源内先生遺品館(香川県さぬき市)に収蔵されています。

終わりに

時代が先取りし過ぎたため、今日も大きく評価が分かれる平賀源内。その象徴こそ、今回紹介したエレキテルでした。

果たしてNHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」では、源内先生の活躍と最期がどのように描かれるのでしょうか。心して見守りたいですね!

※参考文献:

田村栄太郎『人物・近世エレキテル文化史』雄山閣、1985年6月

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