これぞ蒔絵の最高傑作!国宝「初音の調度」が10年振りに一挙公開。徳川美術館 特別展にて (2/5ページ)
意匠の中に隠された『源氏物語』の和歌の文字
初音蒔絵硯箱(蓋表)の意匠で見る葦手文字の配置
初音蒔絵硯箱(蓋表)の意匠で見る葦手文字の配置
「初音の調度」には、新年を迎えた六条院の情景が描かれます。紫の上と暮らす明石の姫君の部屋には、母である明石の君から贈られた鶯の作り物や贈り物を入れた竹籠が置かれ、そこには和歌が添えられています。
「年月を松にひかれてふる人に 今日うぐいすの初音聞かせよ」
この和歌は、母が我が子の便りを待ちわびる心情を詠んだもので、その文字が調度の意匠の中に巧みに散りばめられています。この、文字を意匠の一部として忍ばせ一体化させる技法を「葦手(あしで)」といいます。「葦手」は、天皇家、摂家、将軍家など、家格の高い家のみが使用を許された技法であり、特に慶事に用いられるおめでたい装飾として知られています。「初音の調度」には、この雅やかな技法が贅沢に施されています。