これぞ蒔絵の最高傑作!国宝「初音の調度」が10年振りに一挙公開。徳川美術館 特別展にて (4/5ページ)

Japaaan

彫金埋込/文字を彫金で制作し蒔絵に埋め込む。漆工芸と金属工芸の両方の技術が必要。

「初音の調度」には様々な漆工芸の技法が使われており、1作品を見るだけでもその種類の多さに驚きます。

ひとつの作品にここまで多種多様な技法を取り入れた類例はなく、「初音の調度」が漆工芸の最高傑作と謳われる理由であると同時に、「初音の調度」製作のために集められた職人たちが、当時一流の技術者ばかりであったことを窺い知ることができます。

製作年代・作者が明確、かつ一括して現存

「初音の調度」は千代姫の婚礼調度という明確な目的を持って製作されました。そのため、寛永14年(1637)に幕府から蒔絵師・幸阿弥長重(こうあみ ちょうじゅう)に製作の命が下り、2年後の寛永16年(1639)に完成したことが記録として残されています。

幸阿弥家は蒔絵師の家系で、なかでも長重は天皇家や大名家の道具を多数製作し、その名声を高めた人物です。幕府の命を受けた長重はプロデューサーとして製作の指揮にあたり、多くの職人を束ねながら驚異的なスピードで婚礼調度を完成まで導きました。当時200件から300件は作られたとされる調度類は現在70件を残すのみですが、他の大名家の婚礼調度のほとんどが散逸されているなか、70件という数は他に類を見ない奇跡ともいうべき現存数となっています。

千代姫の死後、「初音の調度」は尾張家の菩提寺である建中寺(名古屋市東区)の宝蔵に納められました。

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