『焼肉店』倒産・過去最多 「大手と中小で二極化鮮明」 「消耗戦」で淘汰相次ぐ…

帝国データバンクは、「焼肉店」の倒産発生状況について調査・分析を実施。
今回、その結果を公表した。
過去最多・大幅更新焼肉店の倒産ペースが、加速している。
2024年度(2024年4月~25年3月)に発生した「焼肉店」経営業者の倒産(負債1,000万円以上、法的整理)は、55件(速報値)判明。

前年度(27件)から倍増となり、これまで最も多かった2019年度(28件)を上回って、過去最多を更新した。
ただ、個人営業など小規模店の閉店や廃業を含めれば、実際はより多くの焼肉店が市場から退出したとみられる。
「安く焼肉を食べたい」一方で、2024年度の焼肉店における損益動向をみると、「赤字」は約2割。

「減益」を含めた「業績悪化」の割合は、コロナ禍で焼肉需要がピークを迎えた21年度以来、3年ぶりに5割を下回った。
既存の焼肉チェーンでは、大量仕入れなどの低コスト運営を強みとした、割安な食べ放題メニューを充実させた。

その結果、「安く焼肉を食べたい」ファミリー層などの需要を取り込み、コスト増を売り上げの増加でカバーする動きが目立った。
二極化進む半面、コロナ禍の焼肉ブームを背景に、異業種から出店した企業や小規模な焼肉店では、客離れを警戒して十分な値上げに至らず。
結果として、損益面で苦戦するケースもみられるなど、二極化が進んだ。

また、消耗戦に耐え切れない中小焼肉店が淘汰され、倒産件数を大幅に押し上げた。
大手チェーンは値上げ足元では、大手チェーン各社は、メニュー価格を引き上げ。
さらに、SNSの活用や季節限定メニューをはじめとした新商品の投入で、ファミリー層以外の新たな顧客開拓といった施策を進めている。

ただ、輸入牛肉など原材料価格の高止まりや、電気・ガス代や人件費など店舗運営コストの負担増も加わり、厳しい環境は今後も続くとみられる。
焼肉店の倒産は、2025年度も高水準での推移が続く可能性がある。