「昭和の世界」「まだあったのですね」 岐阜・長良川鉄道の〝ノスタルジックすぎる駅〟に1.2万人郷愁

こんな光景を見られる場所が、残っていたのか――。
泣きたくなるほどの郷愁を感じる写真が、ネット上で反響を呼んでいる。
2025年3月27日、Xに投稿されたのは、なんともレトロな佇まいの駅のホームだ。昭和の面影をそのまま残したような、まるで映画のセットのような......。
投稿者・「北の大地の研究会」(@tokkyu_Souya261)さんは写真に、「郡上八幡駅良すぎる」というコメントが添えている。
ここは岐阜県に現存する、長良川鉄道・郡上八幡駅である。
その光景には、1万2000件を超える「いいね」(3月28日時点)のほか、こんな声が。
「こういう趣きのある景色がまだあったのですね」「ノスタルジックな感じで素敵ですね」「レトロすぎ。昭和の世界ですねぇ」「金田一耕助が降りてきそう」「寅さんが待っていても違和感ない」「ここのホームに立ってみたい」
実際に郡上八幡駅を訪ねた投稿者は、何を感じたのか?
Jタウンネット記者は「北の大地の研究会」さんに詳しい話を聞いた。
なんとも形容できない魔力がある郡上八幡駅は、岐阜県郡上市八幡町にある長良川鉄道越美南線の中核駅だ。
郡上八幡観光協会や市の公式サイトによると、駅舎本屋は木造平屋、プラットホームは玉石積み、線路をまたぐ跨線橋(こせんきょう)も木造。
屋根や窓などの改修が行われてきたものの、1929(昭和4)年に旧国鉄越美南線の駅として開業した当時の面影をよく残しているとして、2015年、国の文化審議会より登録有形文化財の認定を受けた。
2017年には、建築当時の外観を復元する本屋改修のほか、広場やバス乗り場、トイレに関して利便性向上のためのリニューアルを行い、「駅舎カフェ」もオープン。公共交通だけでなく、観光案内の拠点としても活躍している。
そんな駅だからこそ、雰囲気の良い駅や秘境駅に訪れることが好きな投稿者・北の大地の研究会さんのアンテナに引っかかったのだろう。長良川鉄道の中で雰囲気の良い駅をリサーチした結果、郡上八幡駅を訪れることを決めたのだという。
郡上八幡駅に強く惹かれる理由を尋ねてみると、こう答えた。
「なんとも形容できない雰囲気ですね」「綺麗とか美しいとか凄いとかそういう言葉では形容できない魔力があると思っています」(「北の大地の研究会」さん)
「旅情、鄙び、郷愁、哀愁、白昼夢」という言葉をテーマに旅行を楽しんでいる、と話す北の大地の研究会さん。郡上八幡駅はその目的にぴったりあてはまったようだ。
私たちの今の暮らし、その礎との邂逅ところで、郡上八幡駅のある郡上市郡上八幡北町は、城下町らしい軒の低い町並みが保存されており、国の重要伝統的建造物群保存地区にも選定されている。
城下町である大手町、柳町、職人町、鍛冶屋町を中心とした町家群が「統一された町家と水利施設が一体となって歴史的風致を伝えている」と高く評価されためだ。
「いま私達が生きている礎には、これまでの先祖達が築いてきた土台があります。郡上八幡のような古い街並みはまさにその土台の象徴だと思っています。今のこの世にその礎を肌で感じる事ができるのはとてつもない貴重な体験でした」(北の大地の研究会さん)
今回のXの反響については、「見た方は実際に訪れていただき、普段味わえない旅情たるものを感じ取っていただけたら、非日常感を味わえていいのではないでしょうか」と話す。
郡上八幡は、夏に開催される「郡上おどり」であまりにも有名だ。
日本三大盆踊りの一つにも数えられ、重要無形民俗文化財にも指定されている「郡上おどり」。
こちらもぜひ見てみたいが、あえて混み合う夏季を避け、レトロな「郡上八幡駅」や城下町の町並みをゆっくり見て歩くというのもいいかもしれない。