大河『べらぼう』瀬以(小芝風花)はなぜ姿を消した?3つの理由に視聴者呆然… 4月6日放送の考察&レビュー

吉原者は四民(士農工商)の外……鳥山検校(市原隼人)の計らいにより、晴れて一緒となれたはいいものの、蔦重(横浜流星)と瀬以(小芝風花)の前途は多難でした。

そこで「自分を探す代わりに、日がな一日夢を見続けて欲しい」と身を引く瀬以。幼なじみの絆であった赤本『塩売文太物語』も突き返して、今度こそ本当に「おさらばえ」と姿を消します。
毎度ながら蔦重と視聴者のメンタルをゴリゴリと削る脚本ですが、めげる事なくNHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」第14回放送「蔦重瀬川夫婦道中」を振り返りましょう!
瀬以はなぜ姿を消した?理由その①瀬以が蔦重の元から姿を消した理由の一つに、自分の元夫・鳥山検校に対する世間の恨みがありました。

奉行所のお裁きでも言い渡されていた通り、悪徳な高利貸しとして人々から搾取の限りを尽くしていた鳥山検校。その妻として、瀬以は贅沢三昧・遊興放題に明け暮れていたことにされていました。
実際のところはどうか分かりませんし、少なくとも劇中での瀬以はそのようなことをしてはいません。しかし世間がそう見なして(思い込んで)いたのだから、そういうことにきなくては、世間が納得しないのです。
鳥山検校という最大の庇護者を失った今、瀬以に何ら反論の手段はありません。今や瀬以は、悪徳検校の元妻として針のむしろ。このままでは蔦重まで迫害の対象となってしまうことを恐れて、自ら身を引き、姿を消したのでしょう。
瀬以はなぜ姿を消した?理由その②もう一つ、瀬以が姿を消した理由は、吉原者に対する世間の目です。
吉原者は四民の外。かねてより蔦重は江戸市中の本屋仲間に入れて貰えず、西村屋与八(西村まさ彦)に利用され、鶴屋喜右衛門(風間俊介)らに差別されてきました。そんな蔦重がこれから本屋として店を構える上で、所帯を構える伴侶が自分のような遊女上がりでは、余計に風当たりが強くなるでしょう。

これは駿河屋市右衛門(高橋克実)やふじ(飯島直子)も親心で警告していましたが、血気盛んな蔦重が諦めるはずもありません。もちろん20年越しで自分の思いに気づいた蔦重ですから、その覚悟に迷いはないでしょう。
しかしそこまで自分を想ってくれる蔦重だからこそ傷つけたくない。そんな葛藤の末に瀬以はあえて身を引いたのでした。
瀬以はなぜ姿を消した?理由その③そして瀬以が身を引いた理由の最後が、鳥山検校への義理立てだったのではないでしょうか。
蔦重への想いは捨て切れずとも、鳥山検校こそが誰よりも自分に尽くしてくれたのは間違いありません。確かに蔦重は自分を愛してくれますが、同時に利用してくるヒル(寄生虫)のような側面もありました。

一方で鳥山検校は、世間の人々から搾取の限りを尽くした悪人であっても、瀬以に対してはあらゆる望みを叶えています。それこそ「蔦重と一緒になりたい。離縁して欲しい」という瀬以の本心さえ見抜いて、自分を犠牲にしてまで瀬以の望みを叶えたのでした。
流石にそこまで叶えてもらいながら、江戸から追放される鳥山検校を見捨て、自分だけ幸せになるのは呵責があったのかも知れませんね。他人は鳥山検校を悪く言うけど、自分だけは彼を悪役にできない。そんな複雑な胸中が明かされていました。
エレキテルなんて効きゃしない……遊女たちの堕胎事情劇中では武家の娘が遊郭に売られ、身体を壊して療養する場面が描かれていました。この場面、実は客との交渉で妊娠してしまい、堕胎させられた結果なのだそうです。
吉原遊廓も景気がよかった江戸時代初期は、遊女も子供の出産やお祝いが話題となっていました。しかし客足が落ちて苦しくなってくると、そんな悠長なことは言っていられません。
まともな避妊具などなかった当時、少しでも早く仕事に戻ろうと堕胎させられ、その繰り返しで生命を落とした遊女も少なくありませんでした。
しかし松葉屋には、かっぱらってきたエレキテルが……あってもまるで効きゃしません。
そりゃそうです。静電気がパチッとするだけで万病が治るなら医者などとっくに廃業でしょう。
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第15回放送「死を招く手袋」蔦重(横浜流星)は独立して自分の店『耕書堂』を構えた。そんな時、市中で様子のおかしい平賀源内(安田顕)に会う。一方、家基(奥智哉)が鷹狩りの最中に突然倒れる…。
※NHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」公式サイトより。
瀬以がいなくなっても夢を追い続ける蔦重は、いよいよ自分の店を構えました。新たな門出の矢先、あちこちで不穏な気配が立ち込めているようです。
瀬以との決定的な別れによって新展開を迎えるであろう大河べらぼう、来週から気を確かに見守って行きましょう!
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