入学式場の〝ミニチュア〟を作った藝大生に17万人混乱 「脳みそが情報を受け付けられん」「完成度高すぎて凄い」

「東京藝術大学入学式場のミニチュアを作りました」
そんな呟きと共に投稿された〝ミニチュア作品〟が、Xユーザーたちの脳を混乱させている。
2025年4月4日に投稿されたのは、東京藝術大学の校門前の写真。......いや、投稿者によればその「ミニチュア」だ。
制作者は、この春から東京藝術大学美術学部に通う大学生・渡邉楽(@raku_artlover)さん。
比較対象として置かれているであろう校門前の1円玉がこんなに大きいってことは、かなり小さいミニチュアなのでは!?
それなのに地面も、門も、風景も、全部リアルすぎる。傑作だ。......え、さすがに、リアルすぎない?
違和感の正体は...それによく見るとこの〝ミニチュア作品〟、何か、変。
読者の皆さんは、この写真の違和感に気付いただろうか?
門の前に置かれている、1円玉をもう一度よく見てほしい。
製造年として「昭和四十三年」と記載されている。これが、この作品の〝トリック〟を暴くヒントだ。
実は、昭和30年代の後半ごろ、日本では1円玉不足が発生。そこで大量に1円玉が製造された結果、逆に生産過剰となってしまい、昭和43年(1968年)の1年間は、1円玉の製造が行われていない。
つまり、作り物なのはこの1円玉の方。渡邉楽さんが制作したのは、「東京藝術大学のミニチュア」ではなく「巨大サイズの1円玉」だったのだ。
の、脳が混乱する......!
実物の約42.5倍7日、Jタウンネット記者が渡邉楽さんに話を聞くと、「巨大1円玉」は2024年4月後半ごろ~5月初旬ごろに、およそ2週間かけて制作した作品。
話題の写真は2025年の4月4日、藝大の入学式の日に、それを学校の校門前に置いて撮影したものだ。
もともとミニチュア作品が好きだという渡邉楽さんは以前から、一円玉を巨大にして街の様々な場所に置く活動を行なっているという。
「『大きさ』は相対的に決まるものだから、時には錯覚を起こすこともある。そこでふと、何かを巨大にして街に置けば、逆に街や自分たちが小さいのだという不思議な感覚が体験できるのではないかと考えた。錯覚を起こす抵抗が少なくなるのではと思い、ミニチュアの比較としてよく用いられる1円玉をモチーフにした」(渡邉楽さん)
「巨大1円玉」の材料には、ベニヤ板や紙、スタイロフォーム(建物の断熱材などに使われるポリスチレンの一種)、バルサ材(木材)、スプレー、アクリルガッシュ(アクリル樹脂をベースにした不透明な水性絵具)を使用。
大きさは直径約85センチメートルで、実物の約42.5倍のサイズだ。
そんな巨大1円玉について、渡邉楽さんは
「頭で考えていたビジュアル通りに作ることができて非常に嬉しい。やはり想像するよりも『実際に見る』ほうがパワーは強いということを改めて感じさせられた。また、写真で撮った方がよりミニチュア感が出るのが面白かった。この1円玉を持って世界中を旅行し、いろんな場所をミニチュア化していきたい」
と述べている。
何とも巧妙な渡邉楽さんの〝作品〟に、X上では17万件以上のいいね(9日昼時点)のほか、こんな声が寄せられている。
「脳みそが情報を受け付けられん」「ほんとにミニチュアなのか1円玉がデカいのか区別つかないレベルで完成度高すぎて凄い」「この脳内の無量空処も含めて芸術か」「どこでもそこがミニチュアだと言い張れる魔法アイテムじゃん」
こうした反響を受け、渡邉楽さんは、
「写真で撮った時にわかる人には偽物だとわかる工夫として、唯一発行枚数が0枚の昭和四十三年の1円玉にしたが、結構気づいてくれる人が多くて嬉しかった」
とコメントしている。
(2025年4月11日編集部追記:1円玉のサイズについての回答に誤りがあったと投稿者から連絡があり、正しい情報に修正しました)