『べらぼう』で花魁たちはなぜ着物の帯を「前結び」するのか?その理由や発祥を解説

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『べらぼう』で花魁たちはなぜ着物の帯を「前結び」するのか?その理由や発祥を解説

現在NHKで放送中の大河ドラマ「べらぼう」では、江戸時代の吉原が舞台のひとつということもあり、遊廓、そしてそこで働く花魁などの暮らしぶり(性描写含め)も、かなり突っ込んだところまで描かれています。

華やかに着飾った瀬川花魁(小芝風花)や誰袖花魁(福原遥)をはじめとする遊女たちの姿を見て、「あれっ?」と思ったことはありませんか?

私たちが和服を着る時には、帯は後ろに結ぶのが一般的です。しかし彼女たちは、前側で帯を結んでいるのです。

大河ドラマ「べらぼう」公式サイトより

「花魁とはそういうものだから」と言ってしまえばそれまでですが、いったいなぜそのような習わしとなっているのか、ちょっと気になりませんか?

もしかして…客と同衾するのが仕事だから、客が帯をほどきやすくするためだったのでしょうか?

豪華に、そして格を高く見せるため?

花魁が「花魁道中」のときに胸の前側で締めていた豪華な帯は「俎板帯(まないたおび)」と呼ばれ、帯の「たれ」の部分の長さは約1m、幅が19cmもあるものでした。

画像出典:Wikipedia/花魁

あまりにも大きくて胸から大きな俎板をぶら下げているように見えるため、このような名前で呼ばれるようになりました。

こんな大きくて幅の広い帯を体の前側に締めていたら、何かと邪魔になったでしょう。

しかし花魁にとっては、自分を豪華に飾ることも仕事のうちでした。衣装や髪飾りなどにお金をかけて豪華に見せることは、その花魁の「格」を表すことだったのです。

花魁たちの着物や帯、装飾品などは馴染みの上客からプレゼントされることもありましたが、自前で揃えることもあったといいます。

豪華な着物にこれまた豪華な帯を結んだら、それらがよく見えるようにして、自分の「花魁としての格の高さ」を更にアピールしたいもの。

呼出・昼三・付廻し…『べらぼう』が描く吉原の最高級遊女「花魁」には徹底された階級制度があった

そこで花魁は帯を敢えて前で結び、帯の一番豪華な部分が顔と一緒に正面からよく見えるようにしたのです。

また前結びは、元々花魁や太夫から始まったというわけではなく、大名や公家、上流の武家の女性、大店の奥方などが発祥と言われています。

通常は帯を前で結ぶと、家事などがしにくくて邪魔です。しかし上流階級の女性の場合は事情が違いました。彼女たちは身の周りの世話をしてくれる人が常に側にいたため、帯が前結びでも問題なかったのです。

このような上流社会の女性への憧れから、いつしか花魁の帯は前結びになったという説もあります。

前結びには「一夜妻」という意味もあった!?

また別の説では、遊女の前結びの帯には、彼女たちが「一夜妻」であるという意味合いが込められていたともいわれます。

江戸時代、女性の帯は「既婚女性は前結び、未婚女性は後結び」という習慣だった時期がありました。

しかし前項でも説明した通り、帯が前にあると家事などの邪魔になるため、次第に既婚女性も家事をする必要のない上流階級の女性以外は帯を後ろで結ぶようになっていき、いつしか既婚者を表す前結びは「一夜妻」という意味のある遊女の帯の結び方として残ったというのです。

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