日本が世界に誇る和食の特徴のひとつ「うま味」を科学で証明した日本人・池田菊苗とは?
和食は、日本が世界に誇る素敵な食文化ですよね。そんな和食の特徴のひとつが「うま味」ではないでしょうか。
なかなか言葉で表すのは難しいですが、うま味が感じられる料理は本当においしいですよね。実は、うま味は英語でもそのまま「umami」と表記されています。
今回の記事では、そんな日本や世界で愛されるうま味を発見した科学者・池田菊苗(いけだきくなえ)という人物についてご紹介したいと思います。
池田菊苗(いけだきくなえ)の若かりしころ
池田菊苗は、1864年(元治元年)、京都薩摩屋敷の留守居役・池田春苗の次男として誕生しました。9歳のころ、父と上京し、2年ほど私塾に通って英語などの勉強に励んでいました。京都へ戻り、漢学や英語を学びますが、親の転居をきっかけに大阪へ移住。
近所に住んでいた大阪衛生試験所の所長から化学を教えてもらったことをきっかけに、化学に情熱を向けるようになります。
激動の時代、学びに情熱を注いだ
元は裕福な家庭でしたが、彼が進学しようとしていたとき、家計はとても苦しいものでした。そこで、布団などを売って無断で家出し、上京。予備門理科を卒業し、東京帝国大学理学部化学科に入学しました。
ロンドンでは夏目漱石との交流も1896年(明治29年)、池田は東京帝国大学理科大学化学科の助教授となりました。1899年には研究のためドイツ・ライプツィヒ大学オストワルド研究室に1年半留学します。オストワルド氏は後にノーベル化学賞を受賞する人物です。
ドイツでは食べたトマト、アスパラガス、肉、チーズを初めてたべ、これらの食材には、4つの基本味(甘味、塩味、酸味、苦味)とは異なる味があることに気づきました。これが、彼のうま味の発見へつながっていくのです。
1901年(明治34年)にはロンドンへ留学します。そこで、夏目漱石と下宿先が同じだったこともあり、交流が始まりました。
うま味の発見ロンドンから帰国後、東京帝国大学教授に昇進します。研究に励んでいた1907年(明治40年)のある日、妻がこんぶを持ち帰ってきました。昆布だしを味わいながら、4つの基本味以外の味があることを確信します。
そして、うま味の抽出実験をはじめ、結果としてこんぶのうま味成分がグルタミン酸であることを発見します。
なお、当時池田は「具留多味酸」と表記しています。
その後、1909年(明治42年)、うまみ調味料である「味の素」が鈴木製薬所(現味の素株式会社)から発売されました。
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