英語だと思ってた…船乗りの「ヨーソロー!」は村上水軍の頃から続く日本語。語源は何?

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英語だと思ってた…船乗りの「ヨーソロー!」は村上水軍の頃から続く日本語。語源は何?

「ヨーソロー!」という掛け声で、みなさんは何を連想しますか?

「俺たちゃ陽気な海賊♪」

…って、私は西洋のバイキングや海賊など、荒くれ者の船乗りらの掛け声を真っ先に連想していました。

ココだけの話、YO!という呼びかけから始まる、そんな感じの英語をカタカタに訳しただけかと…(汗)。

と思いきや、なんと語源は「宜しく候(よろしくそうろう)」という日本語でした!

しかも今でも使われている立派な航海用語で、「いま向いている方向で問題ない」「(その方針で)よろしい」という意味を持ち、転舵命令の後などに使われます。

使い方としては、「○○灯台ヨーソロー」→ 「○○灯台の方角に真っ直ぐ進め」。
「(方位)270度ヨーソロー」→「方位270度で真っ直ぐ進め」。
転舵(てんだ)の後に「ヨーソロー」と言うことで、現在の針路での直進を指示し、これ以上舵を切る必要がないことを伝えるのだそうです。

水戸藩建造の洋式軍艦「旭日丸」(Wikipediaより)

いつから使われていた?

この号令は14世紀ごろから活躍した、瀬戸内水軍(村上水軍)の航海術から受け継いでおり、幕末の幕府の海軍にも取り入れられました。

進行方向の方位を「子丑寅卯…」の順で右回りに12等分し、区分を割り当てて呼称します。

右に舵をとる場合は「面舵(おもかじ)」といいますが、これは「卯舵(うかじ)」が「うむかじ」から「おもかじ」に訛ったからだといいます。子丑寅卯なので、時計にあてはめると子が12時なら、卯は3時なので90℃右ですね。

左も同様に申酉戌亥の酉の方向に見立てて、号令は「取舵」といいます。なお、後ろに下がる時の特別な号令はなく、そのまま「後進」といいます(”後退”は敗北を意味することにつながるため)。

元々は、船首に立ち水路を見極める船頭が、後部に居る舵手に対して、直進か左右への転舵かを指示する際にそれぞれ「宜候」「取舵」「面舵」と呼びました。

村上水軍とは?

村上水軍は、室町時代から戦国時代にかけて、瀬戸内海の芸予諸島を拠点に活動した水軍(海賊衆)です。2014年の本屋大賞『村上海賊の娘』でも話題となりました。

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彼らは、因島・能島・来島の三家(三島村上氏)で構成されました。一般の海賊とは異なり、海上交通の安全を保障し、その代償として通行料(帆別銭)を徴収することで生業としていました。

そのため「警固衆」とも呼ばれ、激しい潮流が渦巻く瀬戸内海の地理を熟知し、水先案内や海上警護を行って、交易・流通の秩序を支えました。

一方で、戦場では焙烙玉などの火器を用いた卓越した戦術を持ち、織田信長の水軍を破ったことも(第一次木津川口の戦い)。

瀬戸内海をめぐる戦国大名(毛利氏、河野氏など)の軍事力としても大きな影響力を持ちましたが、豊臣秀吉の海賊禁止令(1588年)により、歴史の表舞台から姿を消しました。

いかがでしたか? 今日から「よろしくお願いいたします」の代わりに、「ようそろ!」と使ってみるのもありかも?

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