「郷土料理」はいつから郷土料理になった?郷土・非郷土の区別の歴史を食事の観点から分析 (2/4ページ)
駅弁や観光地で提供される料理は、その土地を象徴するものとして紹介され、やがて「郷土料理」というカテゴリーが形成されていきます。
つまり、郷土料理は「外部の視点」によって情報化されたのです。
さらに言えばこの「外部」とは、情報の集約地であり、同時に発信地でもある東京などの大都市のことであり、そうした大都市が非都市である地方の文化を紹介するという過程があって、そこで初めて郷土は「郷土」として成立したと言えるでしょう。
ちなみに大正から昭和初期にかけて、柳田國男ら民俗学者が各地の生活文化を調査し、食事もその研究対象となりました。こうした研究活動は、上記のような情報の集約と発信という過程があって「郷土」が成立した、最も分かりやすい例と言えます。
こうして、郷土料理は地域文化の象徴として語られるようになったのです。
ここで重要なのは、郷土料理が「伝統」として再構築される過程です。
地域の日常食が「郷土料理」という形である種の文化財として認識され、そうした文化財としてのイメージ・情報がさらに地域へと逆輸入されることで、郷土料理は単なる食事から地域アイデンティティの表現へと昇格していったのです。