江戸時代の“戦わない武士”たちの実態──内職や借金に頼っていた、武士の深刻すぎる現実とは (3/3ページ)

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身分と現実のあいだで揺れる心

この「身分は上だが、金銭面では弱い」という状況は、武士にとって大きな悩みでした。さらに、武士は質素な生活を求められる一方で、「武士としての体面」を守ることも求められます。

あまりにみすぼらしい姿では外を歩けず、家の名誉にも関わります。そのため、借金をしてでも身なりを整える武士も少なくありませんでした。

刀を抜かない時代が育てた力

刀を差して堂々と歩きながら、心の中では生活の不安や借金の重みを抱えている。それが、平和な江戸時代を生きた多くの武士の現実でした。

しかし、この戦の少ない時代は、武士に新しい力を与えました。学び、考え、教える力です。江戸時代に広がった教育や学問は、明治時代の近代化を支える土台の一つになったとも言われています。

江戸時代の武士は、戦えない存在だったのではありません。時代の変化に合わせて役割を変えながら、生き方を模索した人びとでした。刀を振るう力だけでなく、学びによって社会を支える力もまた、この時代の武士が身につけた重要な力だったのです。

参考文献

山本博文『NHKブックス 江戸に学ぶ日本のかたち』(2009 NHK出版)

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