『豊臣兄弟!』あれは不穏な伏線!?藤吉郎に容赦ない稽古をつけた城戸小左衛門の正体と今後の展開

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『豊臣兄弟!』あれは不穏な伏線!?藤吉郎に容赦ない稽古をつけた城戸小左衛門の正体と今後の展開

■城戸小左衛門 / 加治 将樹
きど こざえもん / かじ まさき

織田家の家臣

織田家中で一目置かれる槍(やり)の名人。小一郎と藤吉郎の父・弥右衛門と因縁があるようで……。

※NHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」公式サイトより。

第2回放送「願いの鐘」で初登場、足軽たちに容赦ない槍の稽古をつけていた城戸小左衛門(加治将樹)。目をつけられた藤吉郎(池松壮亮)もその餌食となり、なぶりものにされていました。

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今回はこの城戸小左衛門について紹介したいと思います。

信長から「六人衆」に抜擢される

加治将樹演じる城戸小左衛門。NHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」公式サイトより。🄫NHK

城戸小左衛門は織田信長(小栗旬)の生涯を記録した『信長公記』に登場する武将の一人で、信長から「六人衆」の一人に抜擢されました。

……鷹野(鷹狩り)の時は廿人(二十人)鳥見の衆と申事(もうすこと)被申付(もうしつけられ)二里三里御先へ罷参候(まかりそうろう)てあそこの村爰(ここ)の在所に鷹有鶴有と一人鳥に付置(つけおき)一人は注進申事候(もうしつかえそうろう)又六人衆と云(いう)事定られ

弓、三張の人数

浅野又右衛門 太田又介 堀田孫七 以上

鎗、三本人数

伊藤清蔵 城戸小左衛門 堀田左内 以上

此衆は御手まはり(周り)に在之(これある)也……

※太田牛一『信長公記』首巻廿二「六人衆と云事」より。

【意訳】鷹狩りの際、信長は「鳥見の衆」として20名を抜擢した。彼らは信長よりも2~3里(約8~12キロ)先行して鳥を探させ、鳥を見つけたら一ヶ所あたり2名を配置。1名を現地に残して様子を見晴らせ、もう1名が信長に鳥の居場所を報告するよう命じる。

また「六人衆」として、弓の名手と槍の名手を3名ずつ選抜した。弓は浅野長勝(宮川一朗太)・太田牛一・堀田孫七(堀田一縄か)の3名。槍は伊東祐之・城戸小左衛門・堀田左内の3名である。彼ら6名は信長の身辺に控えた。

城戸小左衛門が登場するのはこれだけで、この前後について、詳しいことは分かっていません。それだけに創作しがいのある人物と言えるでしょう。

「六人衆」の顔ぶれは?

宮川一朗太演じる浅野長勝。こう見えて「六人衆」に抜擢される弓の名手。NHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」公式サイトより。🄫NHK

せっかくなので、信長に選抜された「六人衆」について、それぞれの顔ぶれも紹介したいと思います。

浅野長勝(あさの ながかつ)

生年不詳~永禄11年(1568年)9月12日または天正3年(1575年)9月10日没

通称は又右衛門。寧々(浜辺美波)の養父で、後に藤吉郎の舅となりました。やがて藤吉郎が出世すると立場が逆転して与力となり、永禄11年(1568年)に討死したとも天正3年(1575年)に世を去ったとも言われます。

太田牛一(おおた ぎゅういち/うしかつ)

大永7年(1527年)生~慶長18年(1613年)3月没

通称は又介(又助とも)、後に和泉守の官職を授かりました。元は僧侶であったが還俗し、柴田勝家(山口馬木也)の足軽として仕えます。弓の腕前が認められて六人衆に選抜されました。信長の一代記『信長公記』の作者としても有名です。

堀田孫七(ほった まごしち)

生没年不詳

堀田孫七と言えば堀田一継(かずつぐ)を指しますが、世代が違いすぎるため、父親の堀田一縄(かずつな)ではないかと考えられます。

『寛政重脩諸家譜』によると、通称は彌角または矢部とされていますが、孫七の通称を代々襲名していたのかも知れません。

伊東祐之(いとう すけゆき)

天文2年(1533年)生~天正13年(1585年)8月没

通称は清蔵、七蔵。萱津の合戦(天文21・1552年)では兜をかぶるのももどかしく、編笠をかぶって武勇を奮ったことから、信長に「編笠清蔵」とあだ名されました。

その後も赤母衣衆に選抜されて活躍し、信長から長の字を拝領して伊東長久と改名します。後に藤吉郎の配下となって大いに活躍したのでした。

堀田左内(ほった さない)

生没年不詳

尾張国津島地域を支配し、信長政権の主力を担った土豪集団・津島衆の四家七党(大橋家・岡本家・恒川家・山川家/堀田党・平野党・服部党・鈴木党・真野党・光賀党・河村党)に属する堀田党の一員です。

あまり詳しいことは分かっていませんが、後に信長が築いた安土城の瓦奉行を務めた記録がありました。

「豊臣兄弟!」における城戸小左衛門はどう描かれる?

城戸小左衛門に立ち向かう藤吉郎。NHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」公式サイトより。🄫NHK

公式サイトの人物紹介では「小一郎と藤吉郎の父・弥右衛門と因縁がある」と、不穏な表現がされているので、その因縁から藤吉郎をよく思っていない可能性も考えられます。

となると、やがて出世していく藤吉郎と小一郎からしっぺ返しを食らう、憎まれ役として描かれるのでしょうか。

ところで、藤吉郎と槍と聞いて、ある逸話を連想した方も少なくないかと思います。

そう。『太閤記』の「長短槍試合」を、この城戸小左衛門に演じさせるのではないでしょうか。

【長短槍試合とは】

※あらすじには諸説あります。

織田家の槍術師範・上島主水(または大沢主水)が「槍は短い方がいい。長いとあちこちつっかえるなど、扱いにくいから」と主張します。

そこへ藤吉郎が「槍は長い方がいい」と反論するので、信長は「では4日後に槍試合をしよう。双方3日間で訓練しておくように」ということで、藤吉郎と主水にそれぞれ50人ずつ足軽が預けられました。

別に武芸の達者でもない藤吉郎側に振り分けられた足軽たちは、名人の主水に勝てる訳がない……と、はなから元気がありません。

しかし藤吉郎は彼らを美酒や御馳走でもてなし、3日間のうち2日間も、呑めや唄えやのどんちゃん騒ぎを繰り広げます。こんなことで大丈夫なのでしょうか。

そして3日目の訓練最終日。藤吉郎はようやく足軽たちに槍を持たせ、藤吉郎は足軽たちに以下を伝えました。

一、槍は三間(約5.4メートル)のものを使い、なるべく長く持ってリーチを稼ぐ。

一、個人ごとに戦おうとせず、号令に合わせてみんな一斉に敵を攻撃する。

一、敵の装備を奪ったり、敵を生捕ったりした者には相応の褒美を与える。

「麦打ち!」で敵の頭を叩き、「稲刈り!」で敵の向こう脛を払う。シンプルな戦術と、みんなで力を合わせて戦う一体感。そして褒美が約束されたことで、大いに士気が高まりました。

一方の主水と言えば、槍術師範の職がかかっているため必死です。訓練期間の三日ずっと、朝から晩まで足軽たちをしごき倒します。

しかし槍術など一朝一夕に覚えられるものではなく、出来なければ殴られたり怒鳴られたり、足軽たちは心身共に消耗しきってしまいました。

足軽たちにしてみれば、勝っても何かが得られる訳ではなく、負けたところで何かのリスクがある訳でもありません。そこへ藤吉郎の足軽たちから八百長(報酬は褒美の半分)を持ちかけられたら、応じない訳はないでしょう。

かくて迎えた試合当日。にわか仕込みの槍術しか教わっていない主水の足軽たちは、統率のとれた藤吉郎の足軽たちに追い立てられる結果となりました。

主水は九尺(約1.8メートル)の槍を両手で構えるため、リーチが1メートルくらいしかありません。これに対して藤吉郎は三間(約5.4メートル)の長鎗を目いっぱい長く持たせたため、稼いだリーチは4メートルほど。

主水の足軽たちは攻撃が届く距離まで近づけず、藤吉郎の「麦打ち!」「稲刈り!」を前に、打ちのめされてしまいます。

「槍は突くものであり、叩いたり払ったりなどするとは卑怯千万!」主水は怒り狂いますが、藤吉郎は涼しい顔で答えました。

「勝たねば殺されるのが戦場というもの。殺された者が『卑怯だ』と言ったところで、負け犬の遠吠えでしかありませぬ。突こうが叩こうが払おうが、敵に勝てるのであれば、それこそが正しい槍の使い方と言えましょう」

かくして軍配は藤吉郎に上がり、信長は藤吉郎に褒美を与えたということです。

果たして「豊臣兄弟!」でもこのエピソードが見られるのでしょうか。

終わりに

城戸小左衛門に再び立ち向かう藤吉郎。今度はどうか?NHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」公式サイトより。🄫NHK

今回は織田信長「六人衆」の一人である城戸小左衛門について紹介してきました。

亡き父・木下弥右衛門と言えば、浅野長勝も何かしらの関係があると劇中で言及されていました。果たしてどんな伏線となるのでしょうか。

このまま憎まれ役として片づけられるのか、あるいは小一郎と藤吉郎の力強い味方になってくれるのか……今後の展開に注目です。

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※参考文献:

谷口克広ら監修『織田信長家臣人名辞典』吉川弘文館、1995年1月 『写真で見る豊臣秀吉の生涯』新人物往来社、1991年8月 『寛政重脩諸家譜 第4輯』国立国会図書館デジタルコレクション

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