大正時代から100年以上守り続けてきた国産カトラリー「月桂樹」、初めて一般の食卓へ (3/5ページ)
それでも「古くない」と感じるのはなぜか。ナイフの背側に施す「鎬(しのぎ)」、刃の表面の艶をあえて消す「目通し」の研磨——フランス様式の伝統技術を受け継ぎながら、注文を受けてから一本ずつ手で磨き上げ、光と使いやすさを整えて仕上げる。口に触れ、手に持つものとして、全数を厳しい基準で検品する。100年前も今も、この姿勢が変わらないからです。
なお、同シリーズは内閣府大臣官房政府広報室が発行する海外向け公式月刊誌『HIGHLIGHTING Japan』(VOL.214 / APRIL 2026)においても、日本の洋食文化を支えたものづくりの代表事例として国際的に紹介されています。
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■ 銀の匙に託された、幸福を願ういいつたえ
西洋では古くから、銀の匙には幸福を願う象徴としての意味が込められてきました。たとえば、はじめてのひと口を迎える頃に小さなスプーンを贈り、やがて大人の食卓へと成長したとき、同じかたちの大きなスプーンを添える——そんな使い方も、「月桂樹」ならできます。人生の節目ごとに手入れをして磨き、整えながら使い続けることで、この一本を選んだ理由が、あたたかくよみがえります。
■ 十代目襲名を機に、作り手が直接届ける
2025年12月、現代表取締役社長が十代目・捧 吉右衛門を襲名しました。その節目を機に、燕物産は初めて一般向けの直販体制を整えました。
企業理念は「匙屋に徹す」——赤ちゃんのひと口目から生涯寄り添うカトラリーを創るという姿勢です。生涯寄り添うためには、作って終わりではいけない。メーカーが直接お届けすることで、製品の背景や作り手の思想まで含めて伝えられる。