2024年紅麹事案 研究解説「カビの世界と利益相反——吉成文献における研究の独立性と客観性への重大な疑問— PA産生既知種を除外した実験設計の科学的妥当性」 (2/4ページ)

バリュープレス

種麹屋のシステムは、品質と安全性を保つための重要な仕組みなのです。

2 カビのDNAと株の管理——ドラマ「仁」とペニシリンの例

 ドラマ「仁」をご覧になった方はお分かりでしょうが、南方仁先生はペニシリンを作るために、友人にあちこちの青カビを探してきてくださいと頼みます。

 青カビも人間と同じくDNAを持っており、特定のDNA配列を持つカビしかペニシリンを作らないわけです。そして、その貴重なカビ(菌株)は大切に保存されることになります。

 遠藤章先生も同様に、全国から青カビを集め、コンパクチンを生産する株を探索されました。エピソードとして有名なのは、京都のパン屋さんから採取したカビからコンパクチンが発見されたという話です。

 つまり、有用な物質を生産するカビは、特定のDNA配列を持つ特別な株であり、偶然同じものが複数の場所で発見されることは、まず考えられないのです。

3 吉成文献の実験設計における重要な疑問

 吉成文献では、小林製薬工場から検出されたPenicillium adametzoidesと千葉大学保存菌株IFM68223との比較が行われています。しかし、この比較株選択に関して重要な疑問が生じます。

 科学的実験においては、比較株の選択基準が明確でなければなりません。なぜ数多くある菌株の中から、特定のIFM68223が選ばれたのでしょうか。その選択基準や検討過程が論文中に明記されていません。

4 既知プベルル酸産生種の除外という重大な問題

 より重要な問題は、実験設計における対照群の設定です。プベルル酸(PA)産生能で既に知られているPenicillium puberulumやPenicillium viridicatumなどの種があるにも関わらず、なぜこれらの既知PA産生種が比較検討から除外されたのでしょうか。


 科学的実験においては、陽性対照(既知のPA産生株)との比較が不可欠です。既知PA産生種を用いた比較実験を行わずに、特定の株のみとの比較で結論を導くことは、実験設計として不十分と言わざるを得ません。

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