2024年紅麹事案 研究解説「我々紅麹業界に何が起こったか」 「病院に相談してください」としか言えなかった——2024年3月28日、企業名公表とその後—— (2/3ページ)

バリュープレス


 それでも最初のころの電話は、小林製薬への怒りと、弊社への激励だった。「小林製薬が悪い。大変だけど頑張ってください」——そういう内容がほとんどだった。
2 3月28日夜——「厚労省が勝手に公表した」
 2024年3月28日夜、厚生労働省は小林製薬の紅麹原料を使用していた企業として52社+173社、計225社の企業名を公表した。弊社の名前も、そこにあった。
 私はすぐに小林製薬バリューサポートの担当者に電話をした。返ってきた言葉は、今も忘れられない。
「厚労省が勝手に公表したんです。」
 紅麹コレステヘルプによる健康被害の話題が社会全体を席巻していた時期だった。その渦中に、弊社の名前が全国に公表された。
3 電話の内容が、一変した
 その日を境に、お客様相談センターへの問い合わせ内容が変わった。
 「お宅の商品を気に入って、何年も食べ続けています。最近、私(または家族)の体調が悪い。御社のソーセージのせいではないか。」
 健康被害の相談が、計5件あった。
 弊社の商品は、無添加・食物アレルギー不使用を特徴とし、「健康に良い商品」として長年お買い求めいただいてきた。その位置付けで信頼してくださっていたお客様ほど、「危険だ」という報道との落差で不安を感じられたのだろう。その気持ちは、よく分かった。
 しかし私には、何も言えなかった。私は薬剤師だ。科学的には「この量で健康被害は起きない」と分かっていた。しかし厚労省が弊社の名前を「危険な原料を使用した企業」として公表している以上、私が「大丈夫です」と言える立場には、もうなかった。「病院に相談してください」——それしか言えなかった。
4 返金——納得してもらえなかった
 5件のうち1件は、保健所経由で岡山県が対応したと後で聞いた。
 別の1件は、取引先のスーパーに苦情を言われたケースだった。スーパー側も対応できないため、私が直接そのお客様に電話をした。
 それでも納得してもらえなかった。
 最終的に、過去1年分として購入されたであろう商品の代金を返金した。弊社に非はなかった。製品に問題もなかった。それでも、返金するしかなかった。
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