2024年紅麹事案 研究解説 農林水産省の回答の自己矛盾——「用語を使っていない」と言いながら、自ら提出した資料には「プペルル酸」が記載されていた—— (3/4ページ)
3 「用いていない」という主張の限界
農林水産省の不開示理由は「消費者向け情報発信(Q&A等)では用いていない」という限定的な説明である。しかしながら:
・ 農水省のリスク管理検討会(内部検討)ではプベルル酸を有害化学物質として認識・記録していた
・ その文書は農水省が作成・保有する行政文書である
・ 「消費者向けでは使っていない」は、「プベルル酸に関する文書が存在しない」ことと同義ではない
弊社の開示請求は「消費者向け情報発信に限定した文書」のみを求めたものであるが、農水省が「プベルル酸」という用語を行政内部で使用していたことは、別添資料が自証している。
4 「根拠文書なし」の連鎖——五省庁の構造
弊社がこれまでに行った情報開示請求において、「プベルル酸」という用語の使用根拠・意思決定過程に関する文書が「存在しない」と回答した機関は以下のとおりである:
・ 厚生労働省(厚生労働省発健生0919第2号):判断根拠文書なし
・ 国立医薬品食品衛生研究所(衛研発第0306002号・衛研発第0926001号):同定根拠・因果関係分析・毒性評価文書なし
・ 大阪市保健所(大大保第8033号):意思決定は行っていない、文書なし
・ 農林水産省(8消安第236号):消費者向け情報発信では用いていない、文書なし
消費者庁への開示請求については現在回答待ちである。
各省庁がそれぞれの論理で「文書なし」を回答しているが、全省庁が横並びで「根拠文書を持たない」という事実は、「プベルル酸が原因物質である」という断定が、証拠的基盤のないまま行政全体に拡散した構造を示している。