縄文時代の住居から〝美しすぎる石器〟発見される 長野・井戸尻考古館「使わず、眺めたり、人に自慢していたんだろうな」 (2/2ページ)
「分析にかけていないため断言はできませんが、素材は和田峠周辺の山地のものだと考えます。和田峠周辺の産出する黒曜石は、透明度が高いことで知られています」「細かい剥離で美しく成形されています。石材も黒曜石の中でも透明度の高いものを選んで作っていると思われます」(「【公式】井戸尻考古館」中の人)
そして、矢じりはふつう、矢の先につけて狩りのために用いるが、この石鏃は未使用のまま残っていた。
「あまりにも美しくできたので、使わず、眺めたり、人に自慢していたんだろうなと、この石鏃を作った縄文人の姿が浮かんでくるような一品です」(「【公式】井戸尻考古館」中の人)
同じ家から、他にも「美しい石鏃」が井戸尻考古館の投稿によると、同じ家からは他にも未使用の石鏃が3点出土していて、それぞれが異なる形をしていたそうだ。
同じ人がつくった石鏃はなんとなく同じようなものになるそうで、だからこれは、作り手が意識的に様々な形に挑戦し、美しく仕上げていたと考えられるという。
「ある石鏃づくりの名人の、ちょっとニッチなこだわりと、美的感覚のするどさ、そして石鏃愛が見えてきませんか?」(井戸尻考古館の公式Xアカウントの投稿より)
約5000年前に住んでいた縄文人による、美しさの追求。美しいモノを愛する心は、縄文時代も、現代も、さほど変わらないのかもしれない。
ところで、井戸尻考古館は富士見町の遺跡から出土した土器や石器などを展示している。
「およそ5000年前の縄文時代中期、この地に花開いた文化は、豊富な打製石器類や彫塑的な土器が特徴です。石器の研究を中心とした『縄文農耕論』の検証、縄文土器の文様から縄文人の精神世界を読み解くことを展示の軸に、当時の人々の生活や心に迫る研究を続けています」と、「【公式】井戸尻考古館」中の人は語る。
現在、話題となった「黒曜石の鏃」はまだ展示されていないが、今後、展示を検討中とのこと。5000年前の縄文人の精神世界に触れる旅、いかがだろう。