「西洋医学×漢方×手相」という異色アプローチ 標準治療では救いきれない患者と”科学的根拠”の境界線 (2/4ページ)
「五臓論」と「エゴグラム」を掛け合わせる独自の試み
幾嶋氏が重視するのは、東洋医学の五臓論と、心理的傾向を整理するエゴグラムを結びつける見方である。エゴグラムは、人の思考や行動傾向を複数の要素に分けて捉える心理学的手法として知られている。
同氏は、五臓論における肝・心・脾・肺・腎と、エゴグラム上の傾向を関連づけ、患者の心理的特徴や不調の背景を整理する参考にしていると説明する。たとえば、怒りや緊張、不安などの感情が身体症状とどのように関係しているかを見立て、漢方薬の選択に生かすという。
日本東洋医学会は、漢方製剤の記載を含む診療ガイドラインや漢方治療エビデンスレポートを公開しており、漢方医療においてもエビデンスに基づく検証が進められている。一方で、漢方の適応は症状や体質、併存疾患、服薬状況によって異なり、すべての患者に一律に当てはまるわけではない。
もっとも、心理的傾向と身体症状を結びつける見立てには、標準化しにくい面がある。診療者の経験に依存しやすく、他の医療機関で再現できるか、どの程度客観的に評価できるかは今後の論点である。
医学の現場で「手相」をあえて活用する真意と、その境界線
いくしま医院の診療で特徴的なのは、手相を患者理解の参考情報として用いている点である。幾嶋氏は、手のひらにある膨らみや線の特徴を、東洋医学の五行説や心理的傾向と関連づけて読み解いていると説明する。
同氏によると、手相そのものを単独の診断根拠にするのではなく、問診や診察で得られる情報と合わせて、患者の性格傾向や緊張の出方を把握する補助線として位置づけているという。