「西洋医学×漢方×手相」という異色アプローチ 標準治療では救いきれない患者と”科学的根拠”の境界線 (3/4ページ)
たとえば、対話だけでは表れにくい傾向を把握し、漢方処方や生活指導の参考にするという考え方である。
ただし、手相を医学的診断と同等に扱うことには慎重であるべきだ。医療広告規制の観点からも、客観的に証明できない効果や診断精度を強調する表現は避ける必要がある。厚生労働省の医療広告規制でも、治療効果の断定や誤認を招く表現には注意が求められている。
一方で、患者の語りにくい悩みや生活背景を引き出す入り口として、非言語的な情報を活用する試みには一定の意味がある可能性もある。重要なのは、それを確定診断ではなく、対話を深めるための補助的手段として明確に位置づけることである。
画面越しの限界をどう超えるか?オンライン漢方の可能性いくしま医院では、オンライン診療にも取り組んでいる。幾嶋氏によると、県外からの相談もあり、対面診療が難しい患者に対してオンラインで問診を行う機会があるという。
漢方診療では一般に、脈診や腹診など対面で得られる身体所見が重視されてきた。そのため、オンライン診療では情報が限られるという課題がある。幾嶋氏は、手相や問診、心理的傾向の把握を組み合わせることで、限られた情報の中でも診療方針を検討できる可能性があると話す。
一方で、オンライン診療は利便性が高い反面、対面診療と同じ情報量を得られるわけではない。厚生労働省もオンライン診療の適切な実施に関する指針を示しており、患者の状態や疾患の性質に応じた適切な運用が求められている。
ただし、オンライン診療を広げるには、対象となる症例の選別、緊急時の対応、対面診療へ切り替える基準、処方後のフォロー体制が不可欠である。利便性が高まるほど、医療安全と適応判断の標準化が問われる構造にある。
補完医療は「自立」を支えられるか幾嶋氏が掲げるのは、薬や医師に過度に依存しない医療である。同氏は、患者自身が自分の心身の傾向を理解し、生活や考え方を見直すことが重要だと話す。漢方薬を使う場合でも、それを長期的な依存先にするのではなく、自身の状態を把握する過程として位置づけたいという考えである。