地域産品は「物語」で価格競争を抜け出せるか、500件超の商談から見えた地方ECの課題 (2/3ページ)

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同サイトが掲げる商品開発の特徴は、机上の情報だけで判断せず、現地で作り手と対話しながら商品を磨き上げる点にあると池田氏は説明する。

作り手のこだわりは、時として生産者側の「内輪の論理」にとどまりがちである。これを生活者が理解し、共感できる言葉や体験へ翻訳することが求められている。商品単体だけでなく、誰とどう味わうか、どのような贈り方ができるかを含めた体験設計を進めているという。

一方で、現地取材から始まる伴走型の共同開発は、1商品あたりの企画・開発に多大な時間と人的コストを要する。多品種を扱うEC事業として、どこまで持続性のある展開が可能かという構造的論点も残されている。

500件超の商談が問う現在地――関係性を届ける商品開発

実際に全国を回り、500件を超える商談を重ねるなかで、地域の事業者からは「売り方がわからない」「良さをどう伝えればよいか」といった切実な声が聞かれたと同氏は話す。対話を通じて関係性を築くことで、「この土地ならではの組み合わせにしたい」「体験を通じて価値を上げたい」といった具体的な企画へと発展していくとされる。

具体的な事例として、熊本県天草市では、テロワール(土地の個性)を感じさせる焼酎セットを企画。原材料である芋の苗植えから仕込みまで参加し、酒蔵や地元の窯元と試作を重ねて専用の器を開発したという。また鳥取県では、酒米を生産する農家と酒蔵をつなぎ、商品企画や販売方法を検討するプロジェクトにも携わっているという。

こうした取り組みは、商品を単体で販売するのではなく、地域の関係性ごと届ける試みと位置づけられる。ただし、特定の土地に深く根ざした文脈が、都市部の多様な消費者層へどこまで広くスケールしていくかについては、市場側の不確実性もつきまとう。

EC単独に留まらない循環へ。
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