飲食店を支える「業務用中華点心」 人手不足時代の新たな市場価値を読み解く (2/3ページ)
価格の安さだけを追求するのではなく、原材料を活かしたクオリティ、そして本場の「點心師」が自社工場で一つひとつ手包みする見た目・食感を大切にするという路線を選択している。
同社の商品ラインナップの約8割は手包みで製造されており、手包みならではの見た目や食感の維持に取り組んでいる。品質管理においては、国際基準であるHACCPに基づいた衛生管理を導入し、原材料の受け入れから製造、包装、出荷まで一貫した体制を整えているという。また、店舗ごとに異なる調理環境に対応するため、再現性の高い商品設計が進められている。一方で、手包みを主体とする製造体制は、職人の確保や育成といった面で別のコストや労力を要する可能性があり、持続的な人員確保という市場側の不確実性は残る。
試食で変わる商談の視点。価格を超えて飲食店に選ばれる「品質」の価値同社との商談において、当初は価格面を重視して他社製品と比較する飲食店も少なくない。しかし、実際の試食を通じて味や調理後の仕上がりを確認し、製造背景や商品ごとの「バラ凍結」による扱いやすさを理解することで、導入に至るケースが見られると同社は説明する。
導入した飲食店からは、「提供時の品質が安定している」「調理による仕上がりのばらつきが少なく、安心して提供できる」といった評価を得ているという。毎日の営業で使用される業務用商品において、味の良さはもちろん、誰が調理しても同じ品質を保てる再現性が重要な価値を持つとされる。ただし、こうした付加価値の理解には対面での丁寧なコミュニケーションや試食の機会が不可欠であり、営業プロセスの効率化という点では一定の限界も存在する。
長期的な視点で捉える食の持続性――これからの商品選定に必要な要素とは多様化する市場環境において、同社は既存商品の品質向上に加え、新たな商品づくりや付加価値の提案に取り組む方針だ。目先の価格競争に終始するのではなく、長期的な視点で信頼を得られる商品とサービスの提供を目指している。
低価格な商品と、品質や再現性を重視した商品、どちらか一方が正解というわけではない。