自転車のカギを側溝に落とした私。取れないまま迎えた翌朝、顔見知りのおばちゃんが(岡山県・40代女性) (1/2ページ)
あの時、ああしておけばよかった。
人生において、そんな後悔を抱えていない人は少ないだろう。
岡山県在住の40代女性・Kさんもその一人。彼女の後悔は、若いころに顔見知りだったおばちゃんのことだ。
<Kさんからのおたより>
二十年来の感謝の気持ちをどうか伝えたくて......。
25歳の頃、バス通勤をしていました。朝のバス停でよく会うおばちゃんがいました。
次第に挨拶を交わすようになり、飴ちゃんをもらったことも。お互いのバスを待つほんの数分の間の、名前も知らないお付き合いでした。
自転車でバス停へすっかり秋も深まったある日のこと。私はいつものように大慌てでバス停まで自転車を走らせました。自転車を停め、鍵を外したその時、うっかり手を滑らせて落とした鍵が、真下にあった側溝の蓋の穴にすっぽり入ってしまう、という大失態を犯したのです。覗き込んでも、真っ暗の穴の中は見えません。
時間もなく、その場は諦めバス停へ。私の様子を見たおばちゃんに事情を尋ねられました。
そしていつものように別々のバスに乗り込んだのですが、次の日の朝のこと。
なんと、おばちゃんの手には私の自転車の鍵が! 帰宅後、暗い側溝の穴の中を照らし、伸ばしたワイヤーハンガーを釣り竿のようにして、私の鍵を拾ってくれたというのです。
名前も知らない私のために、わざわざ寒く暗い中、そのような親切な行動をしてくださったおばちゃんに驚くと共に、感謝してもしきれませんでした。
それなのに私は......。
どんどんと日が流れ...私は退職の日を控えていました。
一人暮らしで車も持てず、いつも朝からバタバタしている私を、同僚や先輩などがよく車で迎えに寄ってくれ、朝バスに乗る機会は減っていました。
気が付くと退職の日を迎え、おばちゃんに改めてお礼を言うことばかりか、菓子折りの一つも渡さず終い。
私はバス停とは反対方向の新しい職場に通う日々となり、その二年後には結婚して別の町に引っ越しました。