キツネとタヌキはなぜ「化かす存在」なのか?昔話だけじゃない、歴史と生態の意外な理由
二者がどちらも悪知恵を働かせ、お互いを出し抜こうとする状態を「キツネとタヌキの化かし合い」といったり、狐よりも狸のほうが化けるのが上手だということを表した「狐七化け、狸八化け」ということわざもあるほど、日本では、きつねにだまされた、たぬきにだまされたといった話は今も昔も多々あります。
では、どうしてこの2つの動物なのでしょうか。
この記事では、日本でいつごろから、どうしてきつねとたぬきが「化かす」存在になったのか、その歴史を紐解いていきたいと思います。
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例えば、平安時代初期の9世紀ごろに編さんされた『日本霊異記(にほんりょういき)』では、美濃の大野郡(おおののこおり:現・岐阜県揖斐郡大野村)の男性が1人の美女に出会い、結ばれたが、女は狐が化けた姿で、犬に正体を悟られて野に帰ってしまった、という話があります。
ほかにも、12世紀ごろに編さんされた『今昔物語』や、中世の小説である『狐の草子』、お伽草子の『木幡狐』なども、きつねと人が結婚する話が残っています。
ここでポイントとなるのが、きつねは美しい女性などに化けて「人を惑わす」存在として語られていること。
きつねに「化かされる」話は高度成長期以降、急激に減少した現代の私たちからすれば、きつねが人間を化かすというのは科学的にはないとわかりますが、実は高度経済成長期の前くらいまでは、割と信じられていたといいます。
きつねに「化かされる」話がこの時期以降急激に減少したのは、科学の発展や情報・コミュニケーションの変化などが背景にあるようです。
たぬきが「化かす・化ける」話も古くからきつねと同じように、たぬきが「化かす・化ける」話も古くから残っています。例えば、奈良時代に編さんされた『日本書紀』には、「春二月、陸奥有狢。化人以歌。」(春2月、陸奥国に狢あり。人となりて歌をうたう)という記述があり、最古のものとして知られています。
ほかにも、先ほど登場した『日本霊異記』をはじめとして『宇治拾遺物語』や『古今著聞集』にもたぬきの記述が見られます。
また、江戸時代に著された本草書である『本朝食鑑』には、人間を化かす、化けたたぬきはふくらませた腹部を叩いて腹つづみを鳴らす、巨大な陰嚢を用いて人間を襲ったりする、などの行動が記載されています。
きつねは美女などに化けて惑わすことが多い一方、たぬきは茶釜に化けた「ぶんぶく茶釜」に代表されるように、身の回りの物に化けて人をびっくりさせる話も多くあります。
たぬきが「化かす」イメージはたぬきの不思議な生態も理由?たぬきが「化かす・化ける」という伝説や説話が生まれた背景には、たぬきの不思議な生態も関係しているのでは、という考えがあります。
たとえば、たぬきは用心深く臆病な性格をしており、人が近づいている気配を感じるたときに、とっさに物陰に隠れたり、じっと動かずやり過ごしたり、死んだふりをすることがあります。
このような行動が「姿を消す」「化ける」といった話に発展したとも考えられているのです。
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