AI時代、日本は「デジタル小作人」で終わるのか―数学の原理を知り、AIを使う側から「胴元」へ (2/5ページ)
インタビューでは、AIを「使える人」を増やすだけでなく、自ら考え、技術の背景を理解し、新たな価値を生み出せる人材を育てることの重要性が語られています。
■AIの答えを「まず疑う」――精度保証付き数値計算から考えるAIとの向き合い方
皆本氏の専門の一つである「精度保証付き数値計算」は、コンピューターが導き出した近似解について、その正しさや解が存在する範囲を数学的に保証しようとする研究です。
この研究の根底にあるのは、コンピューターが出した答えを無条件に正しいと信じるのではなく、「そもそも答えが存在するのか」「その答えは本当に意味のあるものなのか」を確認する姿勢です。
この考え方は生成AIにも通じます。皆本氏は、AIには限界や不確実性があり、企業はAIが「何をでき、何ができないのか」を理解したうえで、自社の課題やデータに照らして活用することが重要だと指摘しています。
■企業に必要なのは「AIを導入する人」ではなく「AIで何ができるかを見極める人」
企業のAI活用では、「AIを使って何かできないか」と考える前に、解決したい課題や目的を明確にすることが重要です。
皆本氏は、AI人材を大きく「AIプランナー」「AIエンジニア」「AIサイエンティスト」に分け、まずは自社の領域でAIを活用すると何ができるのかを考え、計画を立てられるAIプランナーの育成が重要だと語っています。
AI導入そのものを目的にするのではなく、課題を理解し、AIの得意・不得意を見極め、計画する人、実装する人、理論を理解して新しい方法を考える人が連携する。こうした人材の役割分担が、企業におけるAI活用の成否を左右します。
■「デジタル小作人」から「価値を生み出す側」へ
AIを使うことが容易になるほど、「何を使うか」ではなく「何を生み出すか」が問われる時代になります。
皆本氏が語る「胴元になる」という考え方は、単にAI技術を自社開発するという意味にとどまりません。技術の原理を理解し、自社ならではのデータや知見を活用し、独自のアルゴリズムやサービスを生み出し、価値を提供する側へ回ることです。
AI時代の競争力とは、AIを使えることだけではない。