「小さい会社」は、なぜ強くなれるのか―静岡県立大学・岩崎邦彦教授が語る「小ささを強みに変える」マーケティング (3/5ページ)
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真似をされても真似ができない」という状態こそ、強いブランドの条件だと語ります。
品質や技術を土台としながら、その先にある「自社ならではの意味」を明確にする。中小企業にとってブランドは、大企業との資本力競争を避け、自らの価値で選ばれるための強力な経営資源になります。
■マーケティングは「売る力」ではなく「引力」―顧客・社員・採用候補者を惹きつける
岩崎氏が捉えるマーケティングの本質は、商品を押し込む「押す力」ではなく、人の心を惹きつける「引力」です。顧客に「買ってください」と迫るのではなく、「この会社だから選びたい」と感じてもらえる価値や個性をつくることが重要になります。
この「引力」の考え方は、顧客だけに向けたものではありません。社員に「この会社で働き続けたい」と感じてもらい、未来の仲間に「この会社で働きたい」と思ってもらう採用にも応用できます。顧客満足と従業員満足をつなげるインナーマーケティングは、人材確保が重要課題となる中小企業にとっても有効な視点です。
小ささを制約ではなく可能性として捉え、何を足すかではなく何を研ぎ澄ますかを考える。岩崎氏の提言は、規模や資本力ではなく、独自性と「引力」によって選ばれる会社を目指す中小・中堅企業に、実践的な経営・マーケティングの指針を示しています。
■インタビュー概要
前編
地域や中小企業のマーケティングを研究する原点、政府系金融機関・東京都庁での実務経験、企業経営と幸福の関係を紹介。小規模企業だからこそ可能なマーケティングと、高糖度トマト「アメーラ」のブランドづくりを通じ、「小ささを強みに変える」発想に迫ります。
中編
新著『小さな会社を強くするマーケティング思考』の狙いを軸に、「拡大せずに強くなる」という経営観を解説。消費者・中小企業経営者・廃業者の3つの視点から成功と失敗を分析し、「サイエンス」と「アート」を融合したブランドづくりを考えます。
後編
「色々という色はない」「総花という花はない」という言葉から、引き算によるブランド戦略を紹介。自社だけの「マーライオン」をつくり、成功事例の模倣ではなく独自の土俵で一番を目指すこと、さらに顧客・社員・採用候補者を惹きつける「引力」としてのマーケティングを掘り下げます。