地域企業はなぜ「多角化」に向かうのか 家具・建築からカフェ、スポーツへ広がる事業 (3/3ページ)
また、東京や九州、海外を含むネットワークも活用しているとしている。
地域企業にとって、本拠地との関係を維持しながら他地域へ進出することには意味がある。
地元市場だけに依存しなければ、新たな顧客や取引先を獲得できる可能性がある。一方、拠点が離れるほど、人材管理や品質管理、ブランドの統一といった課題も増える。地域密着と広域展開をどう両立するかも、多角化を進める企業にとって重要な論点となる。
老舗企業は「本業」をどこまで広げられるか70年以上続いてきた企業にとって、新規事業への進出は単に売上を増やすためだけの問題ではない。
これまで蓄積してきた技術や顧客基盤をどこまで生かせるのか。一方で、過去の成功モデルに依存せず、新しい市場にどう対応するのかという二つの課題がある。
株式会社吉村の多角化も、家具や建築とは無関係な事業を次々に始めるというより、「空間」という既存事業の延長線上に別の要素を加えていく考え方だという。
ただし、事業を広げれば経営資源も分散する。
カフェ、ファッション、スポーツなど、それぞれの事業が単独でも一定の収益性を確保できるのか。本業との相乗効果を具体的に生み出せるのか。長期的にはそうした点も問われる。
人口減少や市場縮小が進むなか、地域企業にとって多角化は一つの選択肢になる。
重要なのは事業の数ではなく、本業で培ってきた強みをどこまで新しい市場へつなげられるか。株式会社吉村の展開は、地域企業が成長領域をどう探すのかを考える一つのケースといえそうだ。
【取材協力】
株式会社吉村
代表取締役 吉村久朋
https://yoshikagu.com/