仕事はあるのに「人がいない」清掃業界 フランチャイズとロボットは人手不足を救えるか (3/3ページ)
金子氏は、清掃を単なる作業としてではなく、建物の環境を維持する専門サービスとして位置づけることが重要だと話す。建物の美観を維持するだけではなく、利用者が安全に過ごせる環境を支える仕事として、現場の価値そのものを見直していくという考え方だ。
ただし、仕事の価値を打ち出すだけで待遇や働き方の問題が解決するわけではない。賃金や労働時間、キャリア形成なども含め、実際に働く人にとって魅力のある仕事にできるかが問われる。
ロボットと人が一緒に清掃する時代へ同社では、特殊技術を使った清掃や、清掃ロボットと人による作業を組み合わせる取り組みも進めているという。
人手不足が続く清掃業界では、テクノロジーによる省人化は避けて通れないテーマになっている。広い床面など、一定の作業を繰り返す場所では、ロボットを活用できる場面もある。
一方で、細かな汚れへの対応や、建物の状況に応じた判断、利用者への配慮など、人でなければ対応しにくい仕事も残る。すべてを機械へ置き換えるのではなく、人と機械がそれぞれ得意な業務を分担する形が現実的だろう。
その結果、清掃スタッフに求められる役割も、単純な作業だけではなく、機器の管理や現場判断などへ広がっていく可能性がある。
清掃業の「人が集まらない」をどう変えるか金子氏は「できるかどうかではなく、やると決めるかどうかが未来を変える」と話す。同社がFC展開や新しい清掃技術の導入を進める背景には、人材不足が続くなかでも清掃サービスを維持していく必要があるという問題意識がある。もっとも、FC化やロボット導入だけで業界全体の課題が解決するわけではない。加盟店が増えれば品質管理の仕組みが必要となり、ロボットの導入には設備投資も伴う。
何より、現場で働く人が適切な評価を受け、長く働ける環境を整えなければ、人材不足は繰り返される。
清掃を「誰でもできる仕事」と捉えるのか、それとも建物の衛生や安全を支える専門サービスとして位置づけるのか。人材育成、FCによる事業展開、テクノロジーの活用をどう組み合わせるかが、今後のビルメンテナンス業界にとって一つの論点となりそうだ。

【取材協力】
株式会社アクア
代表取締役 金子正裕
https://builds-aqx.com/